ワールドカップ 2015.09.27

ライバル対決を制したのはウェールズ! 逆転負けのイングランドは崖っぷち

ライバル対決を制したのはウェールズ! 逆転負けのイングランドは崖っぷち
喜ぶウェールズ代表選手と、敗れたイングランド代表のロブショウ主将(写真右)
(Photo: Getty Images)

 “死の組”を、ウェールズが頭ひとつ抜け出した。同時に、イングランドが崖っぷちに追い込まれたともいえる。26日にトゥイッケナムスタジアムでおこなわれたラグビーワールドカップ2015のプールA、28-25でウェールズが逆転勝ちした。

 聖地は8万1129人の超満員で埋まり、選手入場前から異様な雰囲気に包まれていた。スタンドにはイギリス王室のプリンスが2人。ウィリアム王子はウェールズ代表の上着を着、ヘンリー王子の胸にはイングランド代表のエンブレムである赤いバラが咲いていた。大合唱は、地元での大一番に気合が入るイングランドサポーターの『スウィングロー』が圧倒した。

 前半2分、ウェールズがPGで先制した。しかし、スクラムで優勢だったイングランドが12分にショットチャンスを得て同点に追いつく。
 16分、負傷で今大会に参加できなかったリー・ハーフペニーの代わりにウェールズのキッカーを務めるSOダン・ビガーが3点を入れれば、その2分後、イングランドのSOオーウェン・ファレルはドロップゴールを決めた。

 両チームがエキサイトした数分後、またもスクラムでペナルティを得たイングランドがPGでリードする。そして、27分、ラインアウトからのアタックでテンポよく攻め上がり、WTBジョニー・メイが左タッチライン沿いを抜けてこの試合のファーストトライを挙げた。

 それでも、前半終了前、ウェールズがSOビガーのブーツで3点を追加し、9-16、イングランドのリードは7点となってハーフタイムを迎えた。

 後半は両チームとも22メートルライン内に攻め込んだが、どちらも相手の堅守で簡単にはゴールラインを割ることができない。互いにPGを3本ずつ決め、18-25でラスト10分間の戦いに突入した。

 今大会、ウェールズは悪夢のように故障者が続出している。開幕直前にFBハーフペニーと1番手SHのリース・ウエッブが重傷を負って不参加となり、第1戦でも数人が怪我をして病院送りとなった。この試合でもストレッチャーで運ばれた者がいて、11番を背負ったハラム・エイモスも負傷で67分にベンチへ下がってしまった。

 しかし、代わりに左WTBに入ったロイド・ウィリアムズが大きな仕事をする。
 71分、テンポよく攻めたウェールズが左サイドで2対1の状況を作り、本来はSHであるウィリアムズが抜け出し、判断良く内側へキック。これをゴール前で確保した9番のガレス・デーヴィスがトライラインを越えてグラウンディングし、キック成功で同点となる。

 そして74分、ウェールズがハーフウェイ中央でPGチャンスを得、この日キック成功率100%のSOビガーが決める。ウェールズが28-25と逆転した。

 77分、ウェールズはノットリリースの反則。イングランドは勝ちに行った。ショットでの同点狙いではなく、ラインアウトを選択した。しかし、モールで押そうとしたが、ウェールズが鉄壁の守りでタッチラインの外へ押し出す。

 79分、敵陣22メートルライン内で再びラインアウトチャンスが訪れたイングランドだが、しかし、連係が悪くノックオン。
 そして、最後のスクラムでプレッシャーに耐えたウェールズがボールを確保して外に蹴り出し、直後、ノーサイドの笛が鳴った。

「選手たちは更衣室で落ち込んでいた」と明かしたイングランド代表のスチュアート・ランカスター ヘッドコーチ。「私たちにとってはグレイトな結果ではなかったが、まだいろんなことが起こりうる。オーストラリア戦は絶対に勝たなければならない」。

 1勝1敗(勝点6)となったイングランド。メインのホストネーションだが、一週間後のオーストラリア戦で負ければ、プールステージ敗退が濃厚となる。2勝0敗(勝点9)としたウェールズは、10月1日のフィジー戦に勝てば準々決勝進出へ大きく近づく。

(文:竹中 清)

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