ワールドカップ 2015.09.22

南ア戦勝利にWTB松島のタックル 「本当は明るい」の証言も

南ア戦勝利にWTB松島のタックル 「本当は明るい」の証言も
次の戦いの場所、グロスターへ移動する日本代表の松島幸太朗(撮影:早浪章弘)

 ラグビー日本代表の主軸で、南半球最高峰であるスーパーラグビーの日本人選手第1号のSH田中史朗は、19日、BK陣の守備時の好判断を称えていた。この日はブライトンで4年に1度のワールドカップ(W杯)イングランド大会の予選プールB初戦があり、過去優勝2回の南アフリカ代表を34-32で破っていた。ジャパンにとっては24年ぶりのW杯勝利である。

 名前が挙がったのはWTB山田章仁、CTB立川理道、そしてWTB松島幸太朗だ。タックル。タックル。またタックル。外側の空いたスペースを埋め、「低く、バツバツ入れた」と本人は言う。

「それを継続するのは難しく、ところどころ抜かれた部分はあった。でも、それに周りがリアクションできた。自信になったと思う」

 複層的な陣形を使った連続攻撃が本来のジャパンの肝である。ただこの日は、キックによる敵陣侵入とピンチを背負った時の守りで光った。桐蔭学園卒業後は南アフリカにあるスーパーラグビーのシャークス傘下に在籍した松島は、「日本にいる選手はそういうの(低いタックル)に慣れていると思いますけど、向こうの選手は皆がそうとは限らない。はまったと思います」と淡々と振り返っていた。

「これまでのジャパンは、ミスの後に点を取られていた」とも語る。事実、7月のパシフィック・ネーションズカップでは、球を落としたり奪われたりした直後、しばし、失点した。が、「練習で、そういうことがないように言ってきた」と松島。だからこそ、この日は淡泊なタックルミスから失点した後も集中を切らさずにプレーできた。「練習で意識してきたことが、(やや違った形で)試合に出せた」と発した。

 本来は、綿毛の走りを繰り出すランナーだ。高校時代は全国大会で90メートルゲインを放つなど、いくつものショータイムを演出。2013年、海外留学を経て現所属先のサントリーに入った後も、その持ち味を発揮してきた。今季はスーパーラグビーで昨季王者だったワラターズ入りし、仲間の豪州代表勢の「フットワーク」を見て盗んでいる。

「僕自身はもっと緊張すると思った。たしかに実際に緊張はしたけど、その緊張感を楽しめた。応援してくれるお客さんも多く、その声も聞こえた。(勝って)すごく、嬉しかったです」

 もっとも、守備での貢献度にも定評がある。サントリーのチームメイトで同い年のSH流大は、「高校の時から試合を観ていたなかではイメージになかったのですが、最近、地道にタックルをすると感じますね。身体を張っている」と話す。インタビューなどでの落ちついた話しぶりについては、冗談交じりに「本当のキャラはメディアに出ているのと違う。いつも、もっと明るく喋れと言っています」。松島は8月下旬、代表合宿の合間にサントリーのクラブハウスへ寄った際、仲の良い流のロッカーに手をつけて「靴などをいつもと違う場所に並べる」などして立ち去った。「会えなかったので、その代わりに」と笑って振り返った。

 23日、グロスターでの予選プールB第2戦がある。タフな初戦からわずか中3日を空けてのスコットランド代表とのゲームだ。2戦連続で先発のWTB松島は、こう言い切る。

「次も日本のスピードあるラグビーを80分間、やり続ける。一番フィジカルの強いチームと一番最初にやれて、フィジカルの部分でも対応できた。それはすごくチーム的にもいいと思う。次の試合でも、自分たちのフィジカルを前面に出していきたいです」

 南アフリカ代表戦の前から、2戦連続ベンチ外のSO/WTB廣瀬俊朗らが中心にスコットランド代表の分析結果をまとめてきたという。過密日程下、2連勝を狙う。

(文:向 風見也)

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