ワールドカップ 2015.08.30

LO真壁、復活へ第一歩! 愚直なクラッシュ連発し、「人間って、不思議」

LO真壁、復活へ第一歩! 愚直なクラッシュ連発し、「人間って、不思議」

makabe

東京でのウルグアイ戦後。真壁伸弥(左)と福岡堅樹(撮影:松本かおり)

 29日、東京・秩父宮ラグビー場でのウルグアイ代表戦。エディー・ジョーンズ ヘッドコーチが心待ちにしていた、大男の復帰が叶った。

 LO真壁伸弥。後半7分からピッチに入り、27分までプレーした。短い出場時間ながら、持ち味を発揮。果敢に球を持って相手にぶち当たり、9月からのワールドカップ(W杯)イングランド大会出場へ好アピールをした。40-0で勝利後、持ち前のさっぱりとした口調で皆を笑わせた。

「思った以上にできたんで、もっとやりたかったです。もともと『(出場時間は)10分くらいだよ』と言われていて、出たのが残り30分くらいのところだったじゃないですか。それで『お、いっぱい出られる!』と思ったら、本当に10分で替えられた。えー!」

 サントリーの主将として臨んだ2月28日の日本選手権決勝で、右太もも裏の筋肉が切れた。日本代表不動のLOとしてW杯出場を目指すなかでの、失意の途中退場。「あ、終わったな。そう思いましたね」。しかし、あきらめなかった。

 4月から活動する代表候補にも選ばれ、合宿地の宮崎でひとりリハビリメニューを重ねた。

「エディーさんも信じて待ってくれている。その信頼に応えられるように…」

 手術をせず、筋肉が切れたままで復活の道を探る日々。患部を補強するよう、故障個所の周りを鍛えた。ぴんぴんしている上半身もパンプアップさせる。公式記録上は「118キロ」の体重を、故障前の「120キロ」から「125キロ」に増やした。

 当日、同じポジションで飲み仲間でもあるLO大野均との交代で登場する。ベンチへ退いたLO大野は「しっかりときついリハビリをやっているのを見ていた。本当におめでとう、という気持ち」と述懐し、LO真壁の登場を迎え入れた同じサントリーのWTB松島幸太朗は「他の皆もアグレッシブでしたけど、それ以上にアグレッシブでした。活気が出た」と笑う。本人はこうだ。

「試合に入るまでは、怪我をする前と変わらない気持ち。ただ、『出ろ』と言われて出てからは、『お、ラグビーできたぞ』と。嬉しく思いました。サポートしてくれた人に感謝ですね。練習でもブレーキがかかるような痛みはあったので、途中で足が動かなくなったらどうしようと不安にもなりましたが、メンバーも後押ししてくれて、ファンの方の応援もあって…。試合のほうが動けました。人間って、不思議」

 負傷前より分厚くなった上半身をたずさえたLO真壁だったが、「思った以上に動けた」。ボール保持者としての長所を示すことができ、「アピールするチャンスがきょうしかなかったんで」とも続け、こう冗談を言った。

「ハーフ団(パスの起点)に感謝ですよね。そのアピールの機会(ボール)をいっぱい出してくれて。事前に、根回ししといたんで」

 W杯の登録メンバーは31日に発表する。9月19日、チームはブライトンで大会初戦を迎える。相手は力勝負が得意な南アフリカ代表だ。LO真壁は「プレースタイルが好き。思い切り、ガツガツやりたいです」とその日を心待ちにする。

「でかい人間はぶち当たってパワーを見せるのが役割なので。インパクトプレーヤーとして頑張りたいです。恩返しの意味も込めて、身体を張りたい」

(文:向 風見也)

PICK UP