女子 2015.07.27

真夏に深冬! アルカス熊谷、横浜も制し年間女王。追手門学院大も◎

真夏に深冬! アルカス熊谷、横浜も制し年間女王。追手門学院大も◎

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ファイナルで先制トライ、大会MVPに選ばれたアルカス熊谷の小出深冬。
(撮影/松本かおり)

 結果だけを見たなら3大会すべてを制した昨年と変わらない。しかし、竹内亜弥主将の口から出た言葉は実感だろう。
「すべての大会(4大会)必死に戦って、やっとたどり着いた感じです」
 太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2015第4戦・横浜大会の2日目(最終日)が7月26日にYC&AC(横浜カントリー&アスレチック・クラブ)でおこなわれた。同大会のカップ(最上位)トーナメントを制したのは、決勝で追手門学院大を26-5で破ったアルカス熊谷。同チームは全4大会中3回目の優勝となり、年間女王の座にも就いた(ポイント制導入は今年からのため初代年間女王に)。また、今季総合成績の2位は東京フェニックス、3位には追手門学院大が入った。

 今季シリーズ最終戦で、アルカス熊谷は女王の矜持を示した。初めてファイナルへ勝ち上がってきた追手門学院大との横浜大会決勝だ。立ち上がりに集中力を発揮して攻め続けたのは伸び盛りの大学生たち。しかし、セブンズ日本代表選手が多く所属するチームは慌てなかった。自陣で守り続けた4分強。体を張る。コミュニケーションを取り続ける。トライラインに迫られる場面も何度かあったが、最後の一線だけは守り切り、好機が巡ってくるのを待ち続けた。
 均衡を破ったのはBKの小出深冬だ。自陣右サイドのラインアウトから左に展開されたボールを受けると自らのランで勝負。僅かな隙を突いてラインブレイクすると、そのまま80?近くを走り切って先制トライを挙げた。アルカスはその3分後PKから速攻を仕掛けて中村知春がトライ。後半の2分弱には中村の仕掛けから攻め、竹内主将もトライを決める。19-0とリードを広げて試合を決めた(このあと互いに1トライずつを決めて最終スコアは26-5)。

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カップファイナルを戦ったアルカス熊谷と追手門学院大。(撮影/松本かおり)

 第1戦の保土ヶ谷大会ではチャレンジチーム(高校生で編成)に辛勝した。第2戦の東京大会ではセミファイナルでRugirl-7に敗れた。第3戦・秋田大会では頂点に立ったけれど、東京フェニックスとの決勝は死闘に。そんな道程を経ての年間女王だったから、主将は言った。
「昨年の大会は個々の力で勝てた。でも今年はチームとしてレベルを上げられて、チームで戦ったから勝てた」
 今大会で8トライを挙げ、大会MVPに選ばれた小出深冬も言った。
「個が強くなればチームも強くなると考えて取り組みました。(その結果)チームとしてアルカスは強くなった(から勝てた)」
 小出は4大会の全試合に出場して安定感あるプレーを見せ続け、年間MVPにも選出された。

 勝者の口から何度も「大会のレベルが上がった」と出たように、各チームの進化が2年目のシリーズを盛り上げた。横浜大会でファイナルに進出し、年間3位となった追手門学院大は昨年は1大会だけに参戦して全敗、最下位に終わったチームだ。指導する後藤翔太監督は「彼女たちの努力は尊敬に値する」と日々の積み重ねを評価。マイクロスキルにこだわり、どこよりもミスの少ないチームとなったから躍進できた。
 年間2位となった東京フェニックスは国際色豊かな陣容で、互いを刺激し合って急成長を遂げたチームだ。NZやシンがポールからやって来た選手たちと、国内の実力者&若い選手たち。多くのスポンサーのサポートも受け、独自の道を歩んでいる。高校生選手が貴重な経験を積んだRugirl-7、若き才能が揉まれたチャレンジチーム、いぶし銀の名古屋レディースなど、それぞれが自分たちのカラーを強く示すから女子ラグビーは魅力がある。
 アルカス熊谷の竹内主将は言った。
「五輪予選を常に意識して戦いました。(この大会での)絶対に負けられないという意識で戦ったことが、絶対にそこで活きると思っています」
 この春、夏の経験を活かすリオデジャネイロ五輪アジア地区予選は約4か月後だ。

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3位決定戦を戦った東京フェニックスと名古屋レディース。
(撮影/松本かおり)

【太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2015 横浜大会 最終順位】
カップ優勝(1位):ARUKAS QUEEN KUMAGAYA WOMEN’S SEVENS RUGBY FOOTBALL CLUB
カップ準優勝(2位):追手門学院大学女子ラグビー部
3位:東京フェニックスRC
4位:名古屋レディース
プレート優勝(5位):日本体育大学ラグビー部女子
プレート準優勝(6位):YOKOHAMA TKM
7位:チャレンジチーム
8位:Rugirl-7
ボウル優勝(9位):RKUラグビー龍ケ崎GRACE
ボウル準優勝(10位):世田谷区ラグビースクールレディース
11位:カ・ラ・ダファクトリーA.P.パイレーツ
12位:北海道バーバリアンズディアナ

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プレート優勝の日体大ラグビー部女子。(撮影/松本かおり)

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ボウル優勝のRKUラグビー龍ケ崎GRACE。(撮影/松本かおり)

<太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ2015 シリーズポイント>

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