国内 2015.07.07

街に楕円球と笑顔が広がる 日本橋で世界初のストリートラグビー

街に楕円球と笑顔が広がる 日本橋で世界初のストリートラグビー

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 7月5日(日)、東京・中央区の八重洲さくら通りにフィールドが出現した。東京駅八重洲口から目と鼻の先の場所だ。世界初の試み、路上のラグビー「Street Rugby at 日本橋」が中央区ラグビーフットボール協会、日本橋八重洲町内会などの主催で開催され、多くの参加者、見学者でにぎわった。

 桜並木の道路に人工芝が敷き詰められ2面のフィールドが造られた。競技は攻撃3人対守備3人、前後半1分ずつでおこなわれ、フィールドは横7m×縦18.5mのサイズ。スタート地点からゴールラインまでは12m。3回タッチ(片手でよい)されるまでにインゴールにグラウンディングするとトライ(3点)となる。守備は2つのゾーンに分けられた範囲内でしかできない。攻守交代は得点後、ノックオン、フォワードパス、タッチラインから出た時。すぐに攻撃開始の笛が吹かれるため、スピーディーに試合が進む。

 「SNSに寄せられた“雨でも行きます”の書き込みに涙が出た」と語るのは、実行委員長の小山裕昭氏(明大OB・中央区ラグビーフットボール協会事務長)。熱意が通じてかイベントのほとんどの時間帯で雨は止んだ。エントリーした87チーム中キャンセルはわずかに2チーム。参加チームの6割以上は中央区のチーム、隣接区を含めると8割以上だという。出場者の6割はラグビーの未経験者で、チームは会社や小学校チームなどと年齢もさまざまだった。

 昨年12月中旬にグラウンドが少ない中央区でラグビー普及のために何かができないか、と明大中野高校時代の同級生と会食中に考えたところ、道路で人工芝を敷いてラグビーができないかと案が上がった。その後ルール監修には大西一平氏(元神戸製鋼)、エディー・ジョーンズ日本代表ヘッドコーチが参加、指導には大西氏のほかトップレフリーの平林泰三氏も加わり、中央区内の小学校で体験会が度々おこなわれ、地元の飲食店や企業勤務の人たちがどんどん加わっていった。

 中学時代にラグビー経験のある俳優の伊原剛志氏がストリートラグビーのアンバサダーに就任。ラグビー関係者の“アンバサダー”としてはヤマハ発動機の清宮克幸監督、帝京大の岩出雅之監督、サムライセブン、カ・ラ・ダ ファクトリー A.P.パイレーツの吉田義人監督(元日本代表)が任命され、トークショーもおこなわれた。吉田氏は「タックルがないので、初心者でもまずラグビーボールを触ってみて、ストリートラグビーからラグビーを知ってもらうのはとてもいいこと。競技者も間合いや駆け引きを鍛えるのに有効」と太鼓判。日本代表の大野均、真壁伸弥、山田章仁も会場に駆けつけ、大会を盛り上げた。

 レフリーで10試合で笛を吹いた平林氏は「男女、子どもから大人まで関係なく楽しめるスポーツ。それだからこそ安全に楽しめるようにした。今日のイベントを振り返って今後の普及に協力していきたい」と話す。
 ラグビー経験のある参加者からは「思ったよりハードだった。攻守の切り替えがはっきりしてるので、リアクションの早さ、ディフェンスのコミュニケーションを鍛えるにはいいトレーニングになる」の声。

 実行委員長の小山氏は「次回は未定だが、しばらくは参加者の声に耳を傾けて今後を考えたい」とのこと。政府や他の自治体が大会視察に来ていることから、全国に広がる可能性を秘めている。2019年ワールドカップに向けてラグビーをより多くの人に目にしてもらい、体験してもらうには、最適なイベントかもしれない。


【STREET RUGBY】
http://street-rugby.com/


https://www.facebook.com/nihonbashi.streetrugby


 


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発案者のひとり、小山裕昭実行委員長。


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大会を運営した中央区ラグビー協会、レフリーのみなさん。


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大会に花を添えたミス・ストリートラグビーの佐藤楓香さん、近藤智美さん。
佐藤さんはラグビー経験もある。

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