4年生レギュラー5人が教育実習で不在も、好調・天理大が近大下す。
今年の関西大学Aリーグの優勝候補の1つ、天理大(昨年4位)が近畿大(同7位)と6月14日に対戦、26−14(トライ数4−2)で勝利した。天理大はAリーグ校相手に春シーズン5戦全勝とした。
東大阪市の近大グラウンドで行われた試合はアウエーの天理大が先制する。
前半9分、留学生ホットラインが機能。CTBモセセ・トンガ(日本航空石川?)が1人を跳ね飛ばしてタテに入り、フォーローしたLOフィリモニ・コブニラギ(ケルストンボーイズ高?)が足下のタックルを振り払い、ポール下に飛び込んだ。
近大は同38分、ゴール前10メートルのラインアウトモールを押し込んでトライ。前半は7−7で終了する。
後半3分、近大は4フェイズでラックサイドを破り、7点を加えた。天理大は同14分、SH土屋圭太(大産大高?)のパスダミーからのランで同点とする。同29分には、敵陣ゴール前のラインアウトからモールを作り、6フェイズ連続でFWがサイドを突く。最後はコブニラギが強引に最終ラインを超え、21−14と均衡を破った。
近大からの勝利で天理大はAリーグ校に5連勝(摂南大57−0、関西学大38−12、京産大56−24、立命大22−12)とした。
要因はFWに力強さが出てきた点にある。スクラムが安定しだし、BKを絡めず前8人で勝負を挑みにいけるようになった。後半29分のトライはその典型だ。
また、この日は主将のFB東口剛士(大産大高)を含め、4年生のレギュラーメンバー5人が教育実習で不在。最上級生はトンガ1人の状況でも勝利した。層の厚さも示した。
それでも小松節夫監督は謙遜する。
「連勝といってもねえ。あまり関係ないよねえ。同志社も残っているし」
小松監督の母校でもある同大も好調だ。春はAリーグ校に3連勝(京産大57−14、関大59−0、立命大71−12)。早明2校との定期戦は、明治大には28−33で競り負けたが、早大には60−24で圧勝している。
同大との対戦は6月28日(同大グラウンド)。天理大がベストメンバーで臨める一戦は春の関西学生王者を決定付ける。
一方、近大は敗れはしたもののディフェンス力向上を印象付けた。
後半18分、ギャップを突いたCTBジョシュア・ケレビ(ナタンブア高?)へLO西原聡哉(大阪桐蔭?)とFL松江祐磨(近大付?)が左右からダブルタックル。太ももへの一撃は天理大のエースランナーを一瞬にして地に這わした。2人の動きに迷いはない。松井祥寛ヘッドコーチは言う。
「去年のシーズン中盤から基本的なシステムを流しから出る形に変えました。練習していることが出せているとは思います」
期待の新人・岩佐賢人(東福岡?)は先発出場。高校日本代表、全国3冠を経験した左WTBは後半38分、スクラム起点の攻撃からライン参加。ディフェンダー2人に当たり負けせず、持ち前の力強さを見せた。
中島茂総監督も「勝てはせんかったけど、見ごたえはあったね」と話すなど、首脳陣の表情に暗さはなかった。
試合はトヨタ自動車、NTTコミュニケーションズ、豊田織機などトップリーグの採用担当も視察。注目度の高さを示していた。
★写真=自陣からアタックをする天理大(赤ジャージー)