ハイランダーズはプレーオフ進出 先駆者、フミさんが語ること
南半球最高峰のスーパーラグビーでは、ハイランダーズが上位6強によるプレーオフに進出。加入3季目のSH田中史朗は「チームがひとつの方向を見ている」と語る。
「バランスがいいチームになっているなと感じますね」
スーパーラグビーの日本人選手第1号であるSH田中は、シーズン中の電話取材でチーム状況をこう話してきた。緻密なミーティングで意思統一を図っており、夏から合流予定の日本代表についても「意識、戦術はひとつにしないといけない。そのためには、ミーティングを増やしたい」と話している。
「(ハイランダーズは)コーチ陣ではジェイミー(ジョセフ、ヘッドコーチ)が全体をまとめて、ブラウニー(=トニー・ブラウン、アシスタントコーチ)がアタック、ストーミー(=スコット・マクラウド、同)がディフェンス…。こうなることで、皆の考えがクリアになっている。リーダー陣もしっかりしている」
もっとも自身のプレーには不満足だ。出場機会が限られるなか、「まだまだ未熟やなと。能力も足りないですし」と吐露。「若いうちにもっとやっておけば」という後悔の念から、若手選手への喚起や日本ラグビー界の改善への思いが口をつく。
「日本でやっていると、たぶん、こういう思いは持てていない。良かった部分と、まぁ…知らなかった方が良かったかなと思ってしまう部分もあります。これを機会に自分がショボいと知れたのは良かったです。日本ラグビーはまだまだ甘い。命を賭けろなんて古臭くて言えないですけど、それくらいの気持ちでやらないと。その気持ちがある選手が何人いるのかと言われれば、いまは…」
シーズン終了後は、日本代表に合流する。9月からは4年に1度のワールドカップがイングランドでおこなわれる。44キャップ(国同士の真剣勝負への出場数)を誇るSH田中も、2大会連続出場に向けこう意気込んでいる。
「(エディー・ジョーンズ ヘッドコーチとは)『エキストラフィットネス(全体練習とは別な、体力強化)はしてるのか』と聞かれるくらいで。そんなに連絡は取ってないです。(ワールドカップでは)とりあえず勝つこと。勝てば、皆も目を覚ましてくれる。特に、トップリーグの選手が目を覚ましてくれるのではないかなとは、思います。25歳を越えると安定感を求めてしまう。そういう人たちに、31歳になる僕の…そういうもの(気概)を見てもらうために、結果を残したい。チームとしても、個人としても。とりあえず走り込みですね。チームのトレーナーにフィットネスはやってもらっている。日本代表のラグビーではもっと走るので、(シーズン終了後に)日本に帰ってから少しもらえる休みの間、しっかりと走り込みたいなと思います」