国内 2015.06.07

帝京大、しぶとい早大を真っ向から蹴散らす 春季大会4連勝で優勝に王手

帝京大、しぶとい早大を真っ向から蹴散らす 春季大会4連勝で優勝に王手

takeyama

終盤に4トライを決めた帝京大のWTB竹山晃暉(撮影:志賀由佳)

 平均得点は「80」で平均失点は「10.75」。

 関東大学対抗戦と同リーグ戦の交流リーグである関東大学春季大会のAグループ(前年度の各団体での上位3校による総当たり戦)では、大学選手権6連覇中の帝京大(対抗戦A・昨季1位)が大差で勝ち続けている。7日、東京・早大グラウンドでの早大(同・昨季2位)戦も73-12で戦い終えた。14日の明大(同・昨季3位)戦(静岡・草薙総合運動場)に勝てば優勝する。

 早大はしぶとかった。特に前半は、鋭い出足で2人がかりのタックルを連発した。帝京大のミスを誘っていた。

「メンタルが折れてしまうところがあって」

 帝京大の新人であるWTB竹山晃暉がこう振り返ったのは、序盤のワンシーンだった。ハーフ線付近左で、相手のSO横山陽介のキックを捕球。十分な間合いから得意のカウンターアタックを仕掛けるところだったが、早大の鋭いチェイスに押し返された。タッチラインの外へ出された。持ち味を出すべき場面でエラーを犯し、「あ、プレッシャーがきついな」と感じてしまったのだ。

 しかし、この直後、早大ボールのラインアウトを帝京大がターンオーバーを決める。LO金廉が空中で競り合い、球を確保。右へフェーズを重ねるなかで、1対1での強さを示す。接点で反則を誘い、敵陣ゴール前右でのラインアウトを選ぶ。まずはモールを押し込み、その周辺でラックを重ねる。LO金が先制した(ゴールも決まり、7-0)。

 前半は早大の圧力にやや苦しんだ帝京大だったが、フィジカルの優位性を活かした手堅いプレー選択でペースを握った。昨季から体重を5キロ増やした(108キロ)という早大のLO桑野詠真も、「フィジカルの差は縮まったと思いましたが、帝京大の前に出る意識とサポートの速さを感じた」と認めた。

 首尾よくエリアを獲得した、帝京大のSO松田力也の述懐。

「まずは敵陣へ行こう、と思っていて。タイトな最初の20分は、相手を後ろに走らせるようなキックを考えていました。1対1でどれだけに前に出られるかもこの試合での課題だった。FWが前に出てくれると、BKはボールを蹴りやすい」

 16、20分とセットプレーから単発でスコアを取りきり、失点直後だった31分にはFLマルジーン・イラウアがインゴールを駆け抜けた。前半を28-5で折り返す。

「もっと丁寧に」

 岩出雅之監督が発破をかけると、後半、チームはさらにギアを上げる。例えばWTB竹山は「ハーフタイムにメンタルを切り替えた」。WTB本田宗詩のタックルにひっくり返される場面もあったが、残り20分で4トライを奪取。突破した味方への援護など、ボールをもらう前の働きで長所を示した。

「僕が早めにボールをもらったらスペースができると思ったので、そうして欲しいと情報を発信した。(自分の)メンタルを切り替えられたといったところが印象的でした」

 試合後の勝者側からは、反省の弁が多く出てきた。前半の内容を鑑み、SO松田は「相手(の守備)に(間合いを)詰められていた。ラインを深くする、攻撃のオプションを変える。そういう修正を試合中(の早い時間帯)にできればよかった」。球際で激しかったLO飯野晃司は、こう全体を総括する。

「相手が低く来ていたところへ(正面から)当たってしまった部分があった。ただ、やるべきファイトができれば、(上手く)いけた」

 反省点を挙げながら、淡々と大勝。

 一方、敗れた早大は「ぶつかり合いという1点では負けていなかった」とWTB本田は前を向く。21日、岩手・盛岡南公園球技場で明大とぶつかる。

(文:向風見也)

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