各国代表 2015.05.21

W杯の準備としてのアジアチャンピオンシップ SO立川の胸中を紐解く

W杯の準備としてのアジアチャンピオンシップ SO立川の胸中を紐解く

tatekawa

5月2日の香港戦で躍動した立川理道(撮影:松本かおり)

 4年に1度のワールドカップ(W杯)のイングランド大会を、今年9月に控えるラグビー日本代表。ここで司令塔候補の1人となるのが、SO立川理道だ。現在おこなわれているアジアラグビーチャンピオンシップ(ARC)は、自身初の大舞台へのリハーサルである。

 4月から韓国代表、香港代表との試合が2つずつ組まれるARC。SO立川はここまで3戦連続で先発している。「全てはW杯の準備」と強調するエディー・ジョーンズ ヘッドコーチ(HC)の意をくみ、CTB田村優とともにゲームを組み立てる。「言葉は悪いのですが、練習のようでもある。もちろんテストマッチ(国同士の真剣勝負)ではあるのですが」。格下相手とされるこのシリーズを、大一番で用いるゲームプランを精査する場としている。

 複数の証言を総合すると、詳細は以下の通りだ。

 香港代表とのゲームでは、南アフリカ代表戦(9月19日/ブライトン)、スコットランド代表戦(9月23日/グロスター)をイメージ。攻めのテンポを上げ、空いたスペースへどんどんボールを運ぶ。

 韓国代表戦では、サモア代表戦(10月3日/ミルトンキーンズ)、アメリカ代表戦(10月11日/グロスター)を想定。優勢となりうるスクラムで圧力をかけ、シェイプ(陣形)による攻めを重ねる。

 5月2日の香港代表戦(東京)。かねてジョーンズHCは「バリエーション」をキーワードに掲げていた。実際、CTB田村のキックを交えつつ左右にボールを散らした。41-0で勝利。ゲインライン(攻防の境界線)でのパスを長所に31のテストマッチに出場(その後、9日にあった韓国代表戦=○66-10/福岡・レベルファイブスタジアムを含む)したSO立川は、こう振り返っていた。

「基本的に、僕はゲインラインにアタックする。キックの部分は田村さんやゴローさん(FB五郎丸歩副将)が考えてくれる。コミュニケーションを取りながらスペースを皆で共有して、(空いた場所へ)キック、ワイドの攻撃を…。大きなアタック(の方向性)は変わらないんですけど、そのなかでどう判断するか…。これがバリエーション(の真意)になってくる」

 4月から宮崎で合宿中だ。練習の強度は試合直前期も落ちることはなかった。こちらも試合間隔の短いW杯への準備だと、SO立川は捉えている。

「その辺はコーチが考えて、僕らは信じてついていくだけ。もちろん、しんどいです。でも、どう(コンディションを)戻していくかは自分次第なので」

 23日、ARCのラストゲームである香港代表戦にも先発予定だ(香港)。「南アフリカを相手に、どこにスペースができるか。それはやってみないとわからない部分もあります」と話しつつ、本番を具体的にイメージする。

「キックは(タッチラインの外を出ない)ノータッチ。それを相手にタッチに出させる(直後、日本ボールで攻撃開始)か、向こうにもう一度ノータッチを蹴らせてこちらが攻め返すか。それを目指している」

(文:向風見也)

PICK UP