国内 2015.05.05

新ハカ披露のNZU、後半にギア。関東学生代表はミスに泣く。

新ハカ披露のNZU、後半にギア。関東学生代表はミスに泣く。

nzu last

結束を固めて最終戦を戦ったNZUが逆転勝ちでツアーを締めくくった。
(撮影/松本かおり)

 まず、隣の仲間を見る。相手を見る。この試合への決意を叫ぶ。
「自分たちが、なぜここにいるのか。それを再認識しました」
 振り返ったのは、NO8ウェトゥ・ダグラス主将である。

 5月5日、東京・秩父宮ラグビー場。関東学生代表との日本ツアー第3戦目を前に、ニュージーランド学生代表(NZU)が新しいハカを披露した。
 ニュージーランド代表が大一番の時におこなう『Kapa o Pango』というハカを考えたデレク・ラーデリー氏が、3日に来日。『WANANGA TOA』というNZU独自の演舞を選手たちに示していた。NO8ダグラス主将はこうも述懐する。
「きょうやるかどうかは、昨晩の段階でも決まっていなかった。ただ、その時の(ハカの)練習成果がよかったので、披露すると決めました」

 試合はNZUが50-35で勝った。エンジンがかかったのは、5点ビハインドで迎えた後半開始直後だった。相手ボールキックオフを確保するや、ハーフタイム明けから出場のLOトム・ロビンソンが大きく突破。最後はFLイアン・ケネディがゴールラインを割り、直後のコンバージョンも決まった。24-21。スコアをひっくり返した。

 対する関東学生代表は、「イージーなミスが多かった」と永友洋二ヘッドコーチは悔やむ。
 PR五十嵐優、HO中村駿太、PR平野翔平を軸にスクラムを安定させ、CTBマイケル バー・トロケ、WTBホセア・サウマキが爆走。「アタックにフォーカスを。サインプレーは種類よりも質にこだわった」というチーム構成のもと、各人が個性を発揮した。しかし終盤は、守備の連携ミスなどから攻め込まれた。
 関東学生代表が10点差を追う後半30分、敵陣中盤右のラインアウトを失敗する。直後、NZUが一気に走る。CTBマット・ファデスのトライなどでだめを押した。後半だけで5トライを奪った。
 
 勝ったブレンドン・ティミンズヘッドコーチ(HC)は語る。
「(選手には)個々の責任を全うしなさい、と伝えていた。相手のチームをリスペクトする。レフリングを心配するより、試合全体を心配する…と。今季の活動はこのツアーで最後。今日の試合をうまく終わらせたことが、2015年のレガシーになった」
 関西学生代表には40-19と勝利(4月26日/大阪・花園ラグビー場)も、関東代表には32-28で屈していた(5月2日/秩父宮)。新たなハカで選手の士気を高めたことは、マネジメントの一環だろう。
「このチーム独自のハカの構想は3年ほど前からあった。急遽『このツアーでやりたい』と、当初はカナダにいたラーデリーが乗る飛行機を変更して日本に呼んだのです」

(文・向風見也)

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