「10番へのこだわり」は、ない。 W杯へ、ジャパン立川理道の貪欲な宣言
エディー・ジョーンズ ヘッドコーチ(HC)体制下の日本代表で、おもにゲームの舵取り役を任されてきたクボタのSO/CTB立川理道。一時はSOというポジションにこだわる時期もあったが、いまは「試合に出られれば、どこでもいいです」と言い切っている。
ジョーンズHCが就任した2012年春から常にメンバー入りし、28キャップ(国同士の真剣勝負への出場数)を取得。身長181センチ、体重94キロの25歳は、ゲインラインでの攻防で才気を示す。相手守備網の間近まで駆け込み、周辺のスペースに鋭いパスを放つ。
「ここにきて、10番へのこだわりが強くなってきて…」
こう語ったのは昨夏、国内最高峰のトップリーグの開幕前である。2013年6月15日、東京・秩父宮ラグビー場で、日本代表は当時欧州王者のウェールズ代表を23-8で破っている。歴史的な白星に周囲は沸いた。「あの日から、明らかにラグビーの雰囲気が変わったじゃないですか…」。背番号「12」のインサイドCTBでもプレー可能な立川だが、この日は背番号「10」をつけてSOを務めた。司令塔としてチームを勝たせる愉しさを、これからも味わい続けたいと思った。
意志はすぐ、覆った。
同年秋のジャパンのツアー。自らも不本意と認めるプレーを重ね、指揮官からは叱られた。「試合でのパフォーマンスが良くないなか、練習もうまくいかなかった。それを、気づかされて…」。組まれた4戦でSOの「10番」を背負った試合はゼロ。うち2戦は先発からも外れた。昨季までレギュラーの座をつかんだ感のあった本人は、「ありがたいですけどね。直接、言ってもらえない選手もいるなかで…」。考えを、改めたという。
「(ウェールズ代表戦などで活躍した)代表の2年目は充実していて。振り返ると、そう簡単にはメンバーからは外れない、という気持ちもあったかもしれない。安心、ではないんですけど。で、(2014年の)秋…。出られないのは、一番、辛い。貪欲に試合に出たいという思いを持っていたい、と」
昨春は南半球最高峰のブランビーズへの留学を果たしたが、「(先方から)話がなかったので」。今年3月は、国内で調整を重ねる。
「何もしないのではなく、いい状態で合宿を迎えられるように身体の準備をしていく。4月からやらないといけないことは、わかっている。とにかく試合に出て経験を積んで、チームにいることで安心してもらえる選手になりたい」
日本代表は4月6日から、宮崎で合宿を始める。9月にはイングランドで4年に1度のワールドカップを迎える。