セブンズでも三冠の輝きを。山下楽平、世界へ意欲あり。
必要としてもらえるからには期待に応えたい。参加するからには結果を残したい。多くない口数が強い意志を感じさせた。
2月22日から開催されている男子セブンズシニアアカデミー(2014年度 第13回@熊谷)に参加している山下楽平(神戸製鋼)だ。セブンズ・ワールドシリーズに今シーズンから初めてコアチームとして参加も、第5戦のアメリカ大会まで苦戦中のセブンズ男子日本代表。3月下旬の香港大会、4月第1週の日本大会(TOKYO SEVENS 2015)での飛躍を目指すチームに、国内シーズンを終えた山下の合流は頼もしい。昨秋のアジア競技大会で金メダルを獲得したメンバーのひとりだ。ふたたび日本のセブンズに追い風を吹かせる存在になりたい。
ルーキーイヤー、山下は神戸製鋼躍進(トップリーグセカンドステージ グループA1位)の原動力となった。WTBとして起用され11トライをマーク。トライ王となり、新人王、ベストフィフティーンにも選ばれてトップリーグでの個人賞三冠獲得という大きな結果を残す。そんな充実したシーズンを走り抜いたばかりでベストコンディションであるはずもないが、「(セブンズへの招集は)せっかく与えられたチャンス。これをつかみ切れなかったら、一生呼ばれないことだってあるのだから必死でやりたい」と語る。「アジア大会で経験した世界のレベルとはまた違う、本当の世界のトップレベルとやれるチャンス」ということも、本人の向上心を刺激している。
ボールを持っていないときの動きの徹底を指導されるとともに、そこへの評価を忘れないギャリー・ゴールド ヘッドコーチの薫陶を受け、トップリーガーへの階段をいっきに駆け上がったこの1年。もともとアタッカーとして存分に才能を発揮してきた男のプレーの幅が広がった。またWTBを任され、ゴールラインを駆け抜けることが第一の仕事と明確に示されたことでトライへの強い意志が高まった。「それがキックチェイスの徹底やインターセプトにつながり、それでトライが増えたと思います」。
9月、10月にイングランドで開催されるワールドカップの影響で、11月中旬の開幕が予定される2015-2016年度のトップリーグ。セブンズも2016年リオ五輪のアジア予選が11月に予定されるなど、その決戦に向けての強化スケジュールは密に組まれている。山下はそこに、必要とされている限りコミットしていきたいと思いを込める。
「自分に不足しているのはセブンズでの経験ですから、そこを克服していくためにはできる限りのことはやっていきたいですね。実戦で得られるものは大きく、それは自分の成長につながるので」
三冠を手にしてから約3週間。周囲の大きな反響に、責任の大きさも感じるようになった。
「最初は『一生に一度だけ』ということから新人王がいちばん嬉しかったのですが、よくよく考えてみたら、ベストフィフティーンに選ばれることって、周囲の選手たち(同じWTBのライバルたち)のことを考えたら凄いことだな、と思うようになりました」
そのプライドを世界の舞台でも示したいと思っている。