ラクヘイ、新人でトライ王。神戸製鋼、トップリーグ1位の原動力に。
(撮影:松本かおり)
セカンドステージのAグループをトップで終える試合で2トライをマーク(対キヤノン/47-8で勝利)。勝負強さを示しての勲章だった。神戸製鋼の山下楽平がトップリーグ1年目にして最多トライゲッターになった。ヤマハ発動機の堀江恭佑、NECのネマニ・ナドロと同じ11トライを積み重ねてのタイトル獲得だ。
「シーズンの序盤はボールを触る機会が少なかったので、それをどうやったら増やせるか考えたことが結果につながりました」
若きフィニッシャーは淡々とそう話した。京産大時代はFBとして活躍。神戸製鋼ではWTBとして、右でも左でも高いパフォーマンスを見せた。
「ステップも、ハンドオフも、右、左関係なくやれます。相手との間合いも、近くても、距離があっても大丈夫」
少年時代は大畑大介氏に憧れていたが、「これまでにいないような選手になりたい」と強い思いを胸に秘める。
ギャリー・ゴールド ヘッドコーチが「素晴らしい才能の持主」と認める男は、神戸製鋼に入って、恵まれた才をさらに伸ばした。
「ボールを持ったら勝負できる感覚は最初からあったのですが、ディフェンスも含め、ボールを持っていない時の動きが課題でした。そこを克服するようにしました」
ヘッドコーチの存在も大きかった。
「キックチェイスなど、細かなプレーを評価してもらえた。これまでそういうことはなかった。そして調子が悪いときも指摘してくれる」
意識の高まりが飛躍を呼んだ。
豪快な走りだけでなく、集中力で奪ったトライもある。
「こぼれた球に(相手より)素速く反応したら、相手を置き去りにできる。そういう状況がいちばん簡単にトライできる状況なので、パスが逸れたりする状況を狙っているんです」
きっと紙一重の差の勝負が繰り広げられるプレーオフトーナメント。勝つのは、より研ぎ澄まされた側だ。
トライ王は、頂上決戦でも存在感を示すことができるか。チームが栄冠を手に入れたら、その勲章はさらに輝きを増す。