国内 2015.01.09

感謝のユイン。6連覇で帝京ファミリーに恩返しを。

感謝のユイン。6連覇で帝京ファミリーに恩返しを。

Teikyo2

ケガを克服し、大学選手権ファイナルで先発する帝京大のCTB権裕人
(撮影:松本かおり)

 何度も折れた。左足の甲を骨折すること3度。大学3年時の秋、冬と、大学4年の春だった。
 でも、心だけは折れなかった。
「いや、心が折れかけたことはありました(笑)。ウエートだけやって、(みんながグラウンドでやっている)ラグビーを見ずに、そのまま練習を終えたこともありました。なかなか治らず、病院に行くのも嫌だった時期もありましたから」
 1月10日におこなわれる大学選手権決勝(味の素スタジアム)で、権裕人(こん・ゆいん)が帝京大学の13番を背負う。準決勝に続いて今季2試合目の出場。大舞台を目前に、「感謝の気持ちを持ってプレーしたい」と話した。

 試合前日(1月9日)にホームグラウンドでおこなわれたジャージー授与式。岩出雅之監督に「13番!」と呼ばれた権は、「ありがとうございます」と言いながら真紅のシャツを受け取った。
「いろんな人たちに支えられて間に合いました。スタッフ、病院の方々、仲間…。サポートしてくださった方々への思いから出た言葉です」
 涙が大量にあふれた。
「いろんなことを思い出して…。それらが走馬燈のように頭に浮かんだので」
 ピッチに立てない間、マネージャーの手伝いを買って出た。頭ではわかっていたつもりだったけど、実際に自分でやってみて、支える人たちの思いがあらためてわかった。
「だからこれからは、感謝の気持ちを忘れず、おごらずにプレーしていけると思っています。4年生になっても、これまではリーダーシップを発揮することはできなかったけど、(決勝では)しっかりとプレーしたい」
 常勝チームの芯にあるものを「全員の誠実さ」と話した。
「絶対に他には負けない気持ちを持っていると信じています」

 復帰戦となった準決勝のパフォーマンスを振り返り、「地に足がついていなかった」と話す。しかし、頂上決戦に向けて体も気持ちも高まった。
「あの試合の前と比べたら、いまの方がだんぜんよくなっています」
 リハビリに励んでいる間、寮で部屋も近い流大(ながれ・ゆたか)主将は、いつもなにかと気にかけてくれた。言葉やメールに癒され、部屋でいろんなことを話した。
 親友を男にするために、持ち前の突破力で筑波大に立ち向かいたい。すべてを出し切る覚悟はできている。

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