コラム 2015.01.06

好調ドコモ 日本選手権出場へ向けチーム一丸

好調ドコモ 日本選手権出場へ向けチーム一丸

 1月4日、大阪市の長居公園にあるヤンマースタジアムで、トップリーグ・セカンドステージ第6節の2試合が開催された。第1試合では、グループB5位のNTTドコモレッドハリケーンズが3位のクボタスピアーズを破り、この時点でクボタの勝ち点を抜き、日本選手権ワイルドカードトーナメントに進出するグループB4位以内に可能性を残した。

 第2試合では、グループAの神戸製鋼コベルコスティーラーズとトヨタ自動車ヴェルブリッツが僅差勝負を繰り広げたが、17-7で迎えた後半23分、SH佐藤貴志の突破からFL前川鐘平がトライし、24-7と突き放した。「今季は負けて学ぶことが多い。今回4トライを獲れたのは自信につながる」(橋本大輝キャプテン)。これで、プレーオフトーナメント進出枠のトップ4争いは、パナソニック、神戸製鋼、東芝、ヤマハ発動機、サントリーの5チームに絞られたことになる。

 いずれも熱戦だったが、観客を驚かせたのは地元NTTドコモの素晴らしいパフォーマンスだった。SOリアン・フィルヨーンが得意のロングキックだけでなく、パスとランでもボールを動かし、CTBパエア ミフィポセチ、WTB渡辺義己らを走らせた。FWも、FLスティーブン・セテファノがよく前進し、FL川田涼の動きも光った。PR松川功がプロフェッショナルファウルでシンビンの間も、7人で安定感あるスクラムを組むなど、ラインアウトも含め、セットプレーの安定は快勝の一因だった。「5ポイント(勝利4、4トライ以上のボーナス点)を獲り、相手にポイントを与えなかったのが一番収穫」と語った下沖正博監督。「タックルで2人目の選手が圧力をかけ続けることを徹底した結果です」とクボタにテンポのいい攻撃をさせなかった理由を説明した。

 負傷欠場中の吉岡宏樹キャプテンに代わってゲームキャプテンを務めたのはFB才口將太だった。「前節、NECに大敗してから、自分たちのラグビーをアタック、ディフェンスともに見直しました。ファーストタックルも激しく行けて、アタックでも80分間、自分たちの動きができました」。今季はここまで全試合に出場し、セカンドステージでは第6節まで先発フル出場中である。プレースキッカーも務めており、この日も難しい角度を含め、4G、2PGを決めて見せた。

 才口は大分舞鶴高校出身だが、実は大分県に住んでいたのはその3年間だけ。生まれ育ったのは兵庫県西宮市である。3歳からラグビーを始め甲子園チビッ子ラガーズに所属。大分から戻って同志社大学に進学。就職も「関西のチームに行きたい」と地元企業を選んだ。NTTドコモは6年目のシーズン。昨季も13試合に出場し、176センチ、81キロというトップリーガーとしては、けっして大きくない体格で、キレのあるラン、安定したフィールディングでチームに欠かせない存在となっている。

 チームは3年連続入替戦を経験し、才口もそのすべてに出場したが、「入替戦に出たくないというより、いまはワイルドカードに進んで日本選手権に出るという方向にみんなの気持ちは向かっています」と前向きに語る。会社では梅田のNTTドコモ関西支社企画総務部に勤務。仕事始めの1月5日も9時30分から出勤する。「職場の皆さんに勝利の報告をできるのは嬉しいです」。この日も職場の仲間が応援に駆け付けていたが、普段は「試合の上映会をしながら、弁当を食べていることもある」というほど、関心を持ってくれているそうだ。

 才口に引っ張られたNTTドコモレッドハリケーンズは、セカンドステージ最終節で宗像サニックスブルースと対戦する。サニックスは、第6節でコカ・コーラレッドスパークスを破った。NTTドコモはワイルドカード出場を目指し、サニックスは自動降格となる最下位回避を狙う、両者にとって重い意味を持つ試合となる。

(文:村上晃一)

■トップリーグ セカンドステージ 第6節・ヤンマースタジアム長居の結果
・NTTドコモレッドハリケーンズ○ 42-15 ●クボタスピアーズ(前半20-15)
・神戸製鋼コベルコスティーラーズ○ 34-7 ●トヨタ自動車ヴェルブリッツ(前半10-7)

【筆者プロフィール】
村上晃一(むらかみ・こういち) ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度西日本学生代表として東西対抗に出場。87年 4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーラン スの編集者、記者として活動。ラグビーマガジン、ナンバー(文藝春秋)などにラグビーについて寄稿。J SPORTSのラグビー解説も98年より継続中。99年、03年、07年、11年のワールドカップでは現地よりコメンテーターを務めた。著書に、「ラグ ビー愛好日記トークライブ集」(ベースボール・マガジン社)3巻、「仲間を信じて」(岩波ジュニア新書)などがある。BS朝日ラグビーウィークリーにもコ メンテーターとして出演中。

(写真:NTTドコモレッドハリケーンズ副将の才口將太)

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