国内 2014.12.28

高岡第一、花園初勝利も反省 「次こそ、自慢のBKが通用するか試したい」

高岡第一、花園初勝利も反省 「次こそ、自慢のBKが通用するか試したい」

Takaoka

花園初出場初勝利を遂げた高岡第一の選手たち(撮影:松本かおり)

 初出場同士の1回戦では、富山・高岡第一高が記念すべき初白星をもぎ取った。

 28日、大阪・近鉄花園ラグビー場の第3グラウンドでの全国高校ラグビーの1回戦。和歌山・近大和歌山高を15−12で制した。後半15分に一時勝ち越しを許すも、後半27分にWTB渡辺空伍が逆転トライを挙げた。勝った吉田治夫監督は、喜びと反省の声、ふたつを重ねた。

 それまでは端で観るしかなかった花園の舞台へ、就任26年目で初めて挑んだ。「(昨年まで)いままでスタンドから観ていたのとは違っていた。グラウンドからスタンドを観るというのも、いままでになかったので…」。自軍ボールキックオフからいきなりノンストップで攻め立てたが、結局、反則で得点を奪えず。前半14、19分と少ない手数で10−0とリードを奪ったが、FB藤駿輔は「いままでの試合と雰囲気が違って…いつものプレーができなかったです」。大舞台での高揚感から、プレー選択の判断に迷いが生じたようだ。

 事前には、キックで敵陣に進んでから球を回すイメージを共有していた。しかし前半はあまり蹴らず、後半に蹴り始めたら想定外のカウンターアタックを受けた。11、15分とそれぞれスクラム、ラインアウトを起点に失点した。

 もっとも、スコアボードの数字ではパニックにならなかった。指揮官の述懐。

「まだ10分以上、時間はありました。再逆転の可能性はあると信じていました」

 25分、グラウンド中盤左の相手ボールスクラムでターンオーバーを決める。右へ展開。CTB吉田重治が前方へキックした先で、相手の落球を誘う。敵陣ゴール前右でスクラムを獲得。好機を掴んだ。

「最後のチャンス。どんなプレーをしてくれるのか、楽しみでした」

 最初に球をもらったSO吉田治寛が直進後、フェーズを重ねる。最後は左中間で、CTB伊藤匠が相手を引き付けてタッチライン際へ鋭いパスを放つ。受け取ったWTB渡辺が鋭角に守備網を裂き、決勝点を生んだ。

 ノーサイド。劇的な初勝利にフィフティーンは破顔する。もっとも指揮官は、試合内容に満足していなかった。ラグビー発展途上県とされる富山のいち指導者として、志を持っているからだ。

「(決勝トライは)個人技でしたので…。花園で勝つことを目標にしていたので、嬉しいです。ただ、うちの持ち味を出せなかったのは残念に思います。大きなことを言いますが、富山でハンドリングラグビーができると提案したいと思っています。富山の子どもを富山の高校で育てて、花園で、大学で活躍してもらうビジョンを描いております」

 30日、2回戦では広島・尾道(8年連続9回目出場)とぶつかる。

「先のことは考えていなかったのですけれども…。次の試合こそ、自慢のBKが全国でどれだけ通用するかを試したい」

(文:向 風見也)

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