鹿児島実、ハイテンポな攻めで64得点! 桑山兄弟が躍動
注目の兄弟選手は初戦から持ち味を発揮。走って、走って、2人で計5トライを決めた。
全国高校ラグビー大会の1日目が27日、大阪・近鉄花園ラグビー場であり、鹿児島実(2年ぶり15回目出場)が学法福島(初出場)に64−21で大勝。大会前から注目された高校日本代表候補のFB桑山聖生副将、CTB桑山淳生が跳ね回った。
兄弟のホットラインは、前半21分のトライを産んだ。
相手の反則から速攻を仕掛けるなか、敵陣22メートルエリア左中間で球を受けたCTB桑山淳が一気に左タッチラインへ快走する。2年の弟、自ら述懐。
「自分が外勝負をしたところへ、(目の前の)相手が全員、くっついてきた」
ほぼ手渡しで球を受け取ったのが、その後ろに立っていた兄のFB桑山聖だった。細かいステップを踏みながら、弟の作った左中間のスペースを直進する。トライラインへ飛び込んだ。ゴール成功と相まって、スコアは31−7となる。3年の兄は笑うのだった。
「とっさのこと。ボールを持った時にはスピードを出せなかったんですけど、最後のトライまで行けた。緊張がほぐれたと思います。それまで、いいところでボールがもらえていなかったので」
FB桑山聖は身長184センチ、体重90キロと大型で、100メートル走のタイムは11秒台という俊足の持ち主だ。陸上でオリンピックを目指しており、中学時代はハードル走や四種競技に挑戦した。
2016年のリオデジャネイロ大会から、7人制ラグビーがオリンピック正式種目となった。渦中、自身もセブンズアカデミーに呼ばれるなど、楕円球界での夢舞台出場を意識するようになった。昨今は高校日本代表候補入りと同時に、10月18〜19日のアジアセブンズシリーズ第3戦・中国セブンズ(北京)に男子7人制日本代表として参加している。
この日は大外から飛び出す相手の守備システムに手を焼いたようだが、足首のばねを活かした走りでスタンドを沸かせた。後半15分には、約50メートル独走のトライを奪った。
「ランニングスキルが他のプレーヤーより安定しているということは、周りから言われます。中学の時、ハードルや瞬発系の動きをやってきたのが活きていると思います」
身長182センチ、体重82キロのCTB桑山淳は、何度もタックラーをかわして3トライで魅せた。「兄を活かせたのは(理想の)30パーセントくらい」としながら「インサイドでラインブレイクでき、やりたかったアタックができた」と語った。
「CTBとしてゲインラインを突破する。兄など、いいランナーにいいボールを供給する。それが役割。初めてラグビーを観る方にも楽しい、面白いと思われるような選手になりたいです」
果敢に球を回すラグビーを提唱する富田昌浩監督は、才気の成長を「楽しみです」と率直に語る。30日、茨城・茗溪学園(3年連続20回目出場)との2回戦に挑む。