コラム 2014.12.24

vol.2 アイザイア・トエアバ(クボタ)

vol.2 アイザイア・トエアバ(クボタ)
【イエロメ ジェフリー剛 (近鉄) → アイザイア・トエアバ(クボタ)】 

「(イエロメ)ジェフとはオークランドにいた時から近い友人で、2人ともラグビーの盛んなライバル校の出身なのでよく知っていました。その後も、彼がベイ・オブ・プレンティ、私がオークランドでプレーして、友人関係を築いていきました」

「私はサモアのメインシティ、アピア出身です。6歳までいて、そこからNZに行きました。最初はラグビーリーグ(13人制)でプレーして、16歳からユニオン。知人がリーグからユニオンに移って、オールブラックスになっていくのを見ていたのと、当時ユニオンに移るとラグビーギアがもらえた。シャツ、スパイクも、いろいろです。サモアから来た少年にとっては非常に魅力的に思えたのです」

「U19NZ代表には12番で選ばれ、ゴールキッカーもしていました。南アフリカでのU19世界大会では、チームメイトにファイフィリ・レヴァヴェ(トヨタ自動車)、ジョージ・ホワイトロック(パナソニック)がいて、南アフリカにはフランソワ・ステイン(東芝)などが出場していました。ステインとは同じセンターなので決勝で対戦予定でしたが、私が準決勝のオーストラリア戦で肩を怪我。面白いのは、当時のオーストラリアのフィジカルトレーナーがマーティン・ヒューメで、彼は現在S&Cコーチとしてクボタにいます。ここで会って3週間ぐらいして、彼がU19世界大会のことを話したので、そこで私も説明しました」

※ トエアバ選手はU19世界大会で62得点、5トライ、その年にIRB19歳以下最優秀選手賞にも輝いた。

「U19に選ばれましたが、まだオールブラックスになりたいというよりも、セブンズの代表になりたいという気持ちの方が強かった。セブンズの方が12人という少ない人数でツアーを回るので、次第にファミリーのようになっていく。フレンドシップが強くなるのです。そういう環境が好きでした。私のニックネーム、アイスも7人制代表が始まりです。2005年、7人制代表の伝説、エリック・ラッシュがつけてくれたもの。プレー中にアイザイアと呼びにくいので、そうなったようです。クボタでもアイスです」

「実際にオールブラックスに選ばれたのは、本当にびっくりしました。家族も驚いた。いや自分が一番驚いた。なぜなら、スーパーラグビーもプレーしていなかったし、NPC(NZ国内大会)も8試合出場しただけで、先発したのは1試合ぐらい。実は現監督のスティーヴ・ハンセンがコーチとして試合を巡回していましたが、選手たちはオールブラックスのコーチが来ているなんて思わなかった。幸運だったし、彼には感謝しています。
 デビュー戦のスコットランド戦は結果的にタナ・ウマガ(当時オールブラックス主将)の引退試合になった。試合が終わるまでは誰もこの試合で彼が最後なんて知らなかったのですが、今思えば非常に特別な瞬間だったし、一緒にプレーできて幸せでした。2011年もその年に怪我があって、満足にスーパーラグビーをプレーしていなかったので、グラハム・ヘンリー監督に選んでもらって感謝しています。地元開催ワールドカップで優勝、その夜は本当にたくさん飲んで、翌日の14時から優勝パレードでした。私は12時にホテルに戻り、仮眠。ウイップー、ムリアイナに起こしてくれと頼みましたが、彼らは忘れた。私が起きて、テレビをつけたらパレードをしている。びっくりしました(笑)」

「8年間スーパーラグビーでプレーして、2回ワールドカップに出たし、そろそろ新しいことにチャレンジしようというのが日本に来たきっかけです。スタイルの違う国でやりたかったので、イエロメ(近鉄)、ブラッド・ミカ(当時NTTコム)、モセ・トゥイアリイ(ヤマハ)などに相談したら非常に生活を楽しんでいるようだった。直行便もあるし(笑)。もちろん、カルチャーの違いは分かっていましたし、基本的にアイランダーはどんな食べ物も挑戦するものです。
 2012年、キヤノンに来た時は、トップ4チームと他が離れている印象でしたが、今季はそれ以外のチームが少しずつレベルアップしてきた。エディー・ジョーンズの言うファーストラグビーが浸透してきたと思います。日本ではサッカー、野球が子どもたちのプレーするスポーツですが、ラグビーもそうなっていってほしいですね」

「かつては一度代表入りしたら他の国の代表は無理でしたが、今は7人制代表で4トーナメント出場すれば、新たに代表になれるというルール変更がありました。祖国であるサモア代表になるチャンスができた。でも、現実的には不可能でしょうね。セブンズシリーズというのは15人制と同じ時期にも行われている。日本のチームに所属している選手にとってはかなり難しいことです」

「私が紹介するのはヤマハのロッキー・ハビリです。彼はトンガ出身でグッドフレンド。彼の方が結構年上で、アイランダーにとってはボス的存在。私にとってはジョナ・ロムーのようなものでしょうか。NZのクラブラグビーで彼のプレーはよく見ていましたし、キヤノンでもチームメイトでした」

(文:福田 達)

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【Player Profile】
アイザイア・トエアバ Isaia TOEAVA

クボタスピアーズ所属(CTB/FB)
身長181センチ、体重96キロ。1986年1月15日、サモア生まれ。
デラセラ高出身。 NPC:オークランド、スーパーラグビー:ハリケーンズ → ブルーズ、TL:キヤノン → クボタ 。オールブラックス36キャップ(2005〜2011)、7人制NZ代表、U19NZ代表、高校NZ代表。

W Toeava

(トップ写真撮影:長岡洋幸/NZ代表トエアバ写真撮影:早浪章弘

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