美しきグレイ&ホワイト 早大GWが痛快ラグビーで学生クラブ日本一!
1930年の創部。OBがたくさんいる。熊谷ラグビー場のスタンドにも、大勢駆けつけた。勝利からしばらくして、スタンドの集団は声高らかにうたった。昔から歌い継がれる小唄がスタンドに響いた。
12月21日、熊谷ラグビー場。東西学生クラブ対抗試合がおこなわれ、早大GWが京都ラビッツ(京産大)を31-17で破り学生クラブ日本一となった。関東学生クラブ選手権の覇者と、関西学生クラブ選手権覇者が戦うこの一戦は今回が13回目だった。
勝った早大GWは、スタンドのOBたちが口にすることとことごとく逆のことをやって得点を重ねた。
「(タッチに)切っとけ」
「ゆっくり」
そんな言葉が出るシーンに果敢に攻めた。すなわち痛快だった。立派だったのは、サイズで上回る相手の攻撃を必ずタックルで寸断し、得点の多くの機会がターンオーバーからだったことだ。
試合開始直後、自陣ゴール前で相手の猛攻をしのぎ切る。しばらくして敵陣に入ると、ターンオーバーからいっきに攻め込む。ワンチャンス攻めきり、先制トライを奪った。1トライを追加後、3つめのトライもターンオーバーからだ。
17-5で後半へ。互いに1トライずつを重ね、24-10で迎えた後半21分。相手のキックを22メートルライン内でフェアキャッチした後に、試合を決定づけるトライは生まれた。
「よし、ゆっくり」
攻め込まれていた直後だ。一度流れを止めても良かった。
しかし、タップキックから攻めた。ボールは何人もの選手の手を渡り、80メートルを走り切る。コンバージョンも決まり31-10。試合は決まった。
「ディフェンスで前に出る。ターンオーバーから、どこからでも攻める。それは約束事でしたから、誰かが走り出せば、そこにみんなが続くとわかっていました」
WTB丸橋祐紀主将は、準備してきたことを出し切れたことが誇らしそうだった。FWの圧力で大きく上回っていた京都ラビッツを、タックルと走力、そして意思統一で沈めた。
グレイ(Grey)とホワイト(White)の段柄ジャージーでGW(通称ジーダブ)。84年を超える歴史はあるが、そもそも日本一を決める大会ができてまだ13回目だから、輝かしい戦績とは無縁のクラブだ(4年前の第9回大会では関西学院大上ヶ原クラブと24-24、両者優勝の経験はある)。
体育会とは違い、ラグビーにいちばんのプライオリティを置いて生活しているわけではない。だけど、グラウンドにいる間は没頭したから感激と充実を感じられた。