コラム 2014.12.10

vol.1　イエロメジェフリー剛（近鉄）

「サモアのサバインという小さな島で生まれて、2歳ぐらいにニュージーランド（NZ）へ移住。ラグビーは5、6歳の頃に、父の勧めがきっかけです。ラグビーと言っても、最初はラグビーリーグ（13人制）でプレー。15歳からは進学したセントピータース高にリーグのチームがなくて、15人制のユニオンでプレーするようになりました。でも、個人的にはラグビーリーグのスタイルも好きで、週末は朝ラグビーリーグ、午後はラグビーユニオンでプレーしていたことがあったほど。今はそんなに違いはないですが、ラグビーリーグの方がフィジカル面を強調されて、自分のスタイルにも合っていました。その頃に憧れたのはタナ・ウマガ。オールラウンドのスタイルで目標にしていましたね。16歳、19歳の時にそれぞれ年齢別の国代表（U16、U19NZ代表）に選ばれて、サモア、オーストラリアなどと対戦したことがあります」

「日本に来るきっかけは8年前。振り返れば不思議な縁でした。当時はベイ・オブ・プレンティでプレーしていて、2年間ぐらいスーパーラグビーにいけるかどうかの境目にいた時でしたが、日本でプレーする気はないかというオファーがあった。自分としては、1年ぐらい日本でプレーしてみて、またスーパーラグビーにチャレンジしてもいいだろう、と考えて来日しました。が、これが8年目。日本はいろんな面で非常によかった。でも、最初の2、3か月は嫌でした。練習内容がNZとは違い、その理由も理解できなかった。これがいったん日本の文化を理解するようになると、大好きになった。プレースタイルにも慣れて、生活も楽しかった。だからずっと日本にいます（笑）。NZ人の妻と結婚、子どもたちもできて、2歳、双子です。今後は、インターナショナルスクールよりも、地元の学校に通ってほしいと思っています」

「試合では持ち味であるパワーを活かそうと思っていますが、8年前の来日時と比べると、国内のフィジカル面も変化して、非常に激しい試合が多いのが現状です。また、私のポジションのCTBには、世界のトップ選手たちが次々と来日しています。元々、チャレンジすることが大好きなので、世界のトップ選手たちと戦えるのは、本当に楽しめる環境。まだ選手として学ぶこともあるし、いろんなものを吸収して、改善できると思っています。

　ファーストステージでトップ8グループに入れなかったのは非常に残念。課題は明白で、まだチームに波があること。サントリー戦のようなパフォーマンスを毎週コンスタントに出せるか。これに尽きます。可能性を秘めるチームなので、日本選手権という次の目標に向かって戦っていくつもりです。

　試合でいつも私の隣にいるのはシゲさん（SO重光泰昌）。彼とは長く一緒にプレーしてきたので、お互いに信頼してプレーしています。彼はすごくいい判断をしますが、今では彼が何をするかほとんどわかりますし、何か問題があれば話し合って解決できる間柄。私の持ち味も引き出してくれます」

「帰化は、自分だけじゃなくて、家族にとっても大きな決断でした。したいと思っても簡単にできることではない、国の判断です。トンプソン（ルーク）とも相談しましたが、最後は妻が賛成してサポートしてくれたのが決めた理由です。チームにとってはプラスだと思いました。日本人という感覚？　ありますよ。サモア、NZ、日本、3か国とも自分の一部です。10月に休みがあってNZに戻りましたが、その時に空港で日本のパスポートを出した時に、ああ日本人なんだという気持ちが強くなったというか、何か不思議な感じでした。あの瞬間は忘れないですね。

　最初、名前に漢字を入れるつもりはありませんでしたが、日本人選手から入れた方がいいと言われました。幹夫（NO8佐藤）さんがこの漢字を選んでくれました。それまではジャイアンと呼ばれていましたが、今はツヨシと呼ばれる方が多くなりました。トンプソンはツヨシとは呼びませんが（笑）」

「私が紹介するのはクボタのアイザイア・トエアバ選手です。トエアバ選手とは9年前の2005年、ラグビーを通じて知り合い、今も仲のいい友人のひとり。ラグビーへの取り組みなど普段はめちゃめちゃ真面目ですが、すごくユーモアがあって、人気者です」

（文：福田達）

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