国内 2014.11.30

帝京大、健闘の慶大に完封勝ち! 「おごらずにやるだけ」(SH流主将)

帝京大、健闘の慶大に完封勝ち! 「おごらずにやるだけ」(SH流主将)

T

帝京大FLマルジーン・イラウアを止めにいく慶大の選手たち(撮影:井田新輔)

 大学選手権5連覇中である帝京大が、今季の関東大学対抗戦Aで単独優勝を決めた。30日の慶大との最終戦(東京・秩父宮ラグビー場)を48−0で制し、唯一の全勝チームとなったため。この日は相手の練られた好守にやや手こずったが、勝負どころで集中力を発揮。4季連続5度目の対抗戦王座についた(単独優勝は2季連続4度目)。

 慶大は意図を持って抗った。守っては相手の攻撃ラインの外側へ圧力をかけ、ターンオーバーを狙い続ける。自軍ボールを得れば、CTB石橋拓也、CTB川原健太朗を軸に攻め立てた。しかし、帝京大が要所の接点でひたむきさを示し、敗れたCTB石橋に「帝京大はブレイクダウン(接点)、特に下のボールへの働きかけがすごく…」と言わしめた。

 後半16分、慶大が帝京大の落球を誘う。敵陣22メートルエリアでスクラムを獲得するが、この先は王者が貫禄を示した。

 スクラムを真正面から押し返し、球が通った先へSH流大主将がタックルする。赤いジャージィの束が援護に入り、攻守を逆転させた。起き上がったSH流主将が敵陣22メートルエリア右へ長いキックを蹴ると、18分、SO松田力也がドリブルののちトライを決める。34−0とした。

 ピンチをチャンスに変え、スコアを奪ったこの場面。殊勲のリーダーは淡々と振り返った。
 
「FWがスクラムでプレッシャーをかけて向こうの球出しが乱れた。BKがディフェンスラインをセットして、キックした時のリアクションの速さ(を披露)…。それぞれ役割は違うなか、しっかり集中できたんじゃないかと思います」

 4勝2敗1分で戦い終えた慶大の対抗戦の順位は、12月7日の早大×明大の結果を受けて決まる。和田康二監督は「選手が最後までファイトしたことは称えたい。それを跳ね返した帝京大を、肌で感じたことは収穫」とこの日の敗戦を振り返り、14日からの大学選手権セカンドステージを見据える。

 一方、岩出雅之監督は「ディフェンスから切り返してスコアをもっていけた」と無失点の守備を評価も、「きょうは、気合いは入っていたけど、最初に簡単にトライを取れたことで緊張の針が抜けたんじゃないかと感じます」。細部の点検は怠らない。

 対抗戦では総得点499、総失点35と快勝続きだった。会見中、覇権争いを前に接戦を経験していないことへの不安感を問われた。SH流主将は即答した。

「最終的にはスコアの開いた試合が続いていますけど、要所、要所では厳しい場面もありました。いまはどれだけ大差がついても現状に満足せず、おごらずにやっていくという気持ちだけです」

(文:向 風見也)

PICK UP