早慶戦でも好トライの早大WTB荻野 早明戦&選手権へ「楽しめるように」
2008年度以来の大学日本一を狙う早大は、今季の関東大学対抗戦Aでの成績をここまで4勝1敗1分としている。「早明戦」と呼ばれる12月7日の明大との最終戦(東京・秩父宮ラグビー場)を経て、大学選手権で覇権奪還を狙う。今夏に日本代表の練習生となった4年生のWTB荻野岳志は、「早明戦を弾みにしたい」とラストイヤーのプレーに魂を注ぐ。
チームは23日、秩父宮での慶大戦に挑んだ。伝統の「早慶戦」。25−25の引き分けで、対抗戦優勝の可能性を失った。「ワセダのペナルティが多く、想定したよりも自陣でプレーしてしまった」と反省するWTB荻野だが、個の力は示した。
前半27分。敵陣中盤で深めの攻撃ラインを形成する。SO小倉順平副将のパスをもらうや、目の前の守備網を次々と抜き去る。2人のタックラーを引き連れ、そのままトライラインを越えた。
「ワセダのフォーメーションをするなかで、自分の前が空いた。行くだけでした。裏に抜けた後は目の前と外に1人ずつ(相手が)いたので、その間を走ろうかな、と」
パスをもらう数フェーズ前に敵陣10メートル付近を中央突破したばかりとあって、自身の「ボールタッチ」への意欲を示したシーンでもあった。
ゴール成功と相まって、スコアを15−6とした。本人の述懐。
「あまり、覚えてないですけど…。常にいっぱいボールをもらおうという意識はありますね」
今季限りでトップレベルでのプレーを終える。一抹のさびしさを抱きつつも、全力疾走を誓う。
「1試合、1試合、ちゃんとステップアップできるように。残された時間を思い切り楽しめるように」
不完全燃焼だった「早慶戦」の反省を「早明戦」に活かし、選手権では、5連覇中の帝京大に勝ちたい。引き分けの一戦の直後、こう話した。
「相手が疲れた時にトライを取れたら、もっと楽なのにな、と。そこはもったいなかった。アタックでは(ボール保持者が)立てていなかったり、ディフェンスでは前で(相手を)止められなかったり…。次の早明戦は、大学選手権につながるようないい試合にしたいです」