初代クイーンは日体大。第１回全国女子選手権大会『会長杯』で快勝。

　伝統ある紺と水色の段柄ジャージーが躍動した。11月23日に東京・江戸川区陸上競技場で開催された「第1回全国女子ラグビーフットボール選手権大会」で日本体育大学ラグビー部女子が初代王者となった。関東、関西地区のナンバーワンチーム同士で日本一を争う「日本ラグビーフットボール協会会長杯」で名古屋レディースに46-5と快勝した。

　日体大は前半14分にLO松尾綺子がトライを奪って先制。その後、WTB神田七海、石川裕美らがトライを重ねて前半を22-0と大きくリードした。
　後半に入っても攻撃の手を緩めない。15分にFB平野恵里子が追加のトライ。21分に名古屋HO永田早矢にゴールラインを越えられると、さらに気持ちを強くして前へ出る。ラスト10分を切ってからCTB伊藤瑞萌、NO8高野眞希、FL青柳双葉が次々とトライラインを越えて歓喜の瞬間を迎えた。

　1988年から「女子ラグビー交流大会」として開催されてきた今大会。その大会の中でも、2年前から『日本協会会長杯 全国No.1チーム決定戦』として日本一決定戦はおこなわれていた。日体大ラグビー部女子と名古屋レディースの顔合わせは、その試合も合わせると3年連続の顔合わせ。2年前は名古屋、昨年は日体大が勝っていた。新しくなった大会で初代王者となった喜びと、1勝1敗だった名古屋との対戦で得た勝利について中川直子ヘッドコーチは、「去年は2点差（22-20）だったので全然勝った感じがなかった。今年は最後まで走り勝つことができたのと、『組織は個に勝る』というのを選手たちにはずっと言ってきたので、それが証明できたんじゃないかな、と。（選手たちには）よく頑張った、ってことを一番伝えたい。今日はFWの頑張りが大きかったですね。1年生が多いFWが名古屋のFWを止められるかな、という不安はありましたが、集中的に練習してきた結果が出て80分間タックルし続けてくれた。トライにつなげることができてよかった」と語った。

　SO樋口由依キャプテンの表情も晴れやかだった。
「優勝できてとても嬉しいです。（今年は）先輩たちがたくさん抜けてしまって1年生が多く、四苦八苦していました。しかし（今秋の）関東大会で優勝したところからさらに一致団結できた。『組織は個に勝る』を証明できてとても嬉しいです」
　卒業後は警視庁での採用が決まっている主将は、「まずは仕事第一に考え、また縁があればラグビーをできたらいいなと思っています」と言葉を続けた。そして愛情を注ぎ続けてくれた中川コーチに対しての感謝を、「大好きです。1年生の時からすごくお世話になっていて、初心者で入った私はなかなかラグビーがうまくなれなかった時期があったんですが、全体練習後もずっと付き合ってくれた。一番大切な恩師です」という言葉で表現した。

　大会名称は変わったが、全国の女子チームや女子ラグビー関係者間の親睦を深め、さらに女子ラグビーの健全な発展と底辺の拡大の役割を果たすという大会のスピリットは受け継がれた。だから今大会でも会長杯以外に、各地域2位以下同士が順位を決定する試合をおこなった。また、高校の部では3地域から選抜された高校生による交流試合も実施。こちらは、女子選手の発掘・育成や競技力向上が目的となっている。

【試合結果】
●会長杯（40分ハーフ）： 日体大ラグビー部女子 46-5 名古屋レディース
●3位決定戦（30分ハーフ）： RKUラグビー龍ヶ崎GRACE 64-0 兵庫県合同チーム
●5位決定戦（20分ハーフ）： PTA 15’s 48-0 世田谷レディース
●5位決定戦（20分ハーフ）： 世田谷レディース 0-7 チーム大阪
●5位決定戦（20分ハーフ）： PTA 15’s 43-0 チーム大阪
●高校の部（30分1本）： 関東 5-12 関西
●高校の部（30分1本）： 関西 0-0 九州
●高校の部（30分1本）： 関東 0-5 九州

 【順位】
1位：日本体育大学ラグビー部女子
2位：名古屋レディース
3位：RKUラグビー龍ヶ崎GRACE
4位：兵庫県合同チーム
5位：PTA 15’s
6位：チーム大阪
7位：世田谷レディース

※
【兵庫県合同チーム】：　兵庫県ラグビースクールレディース、SCIXラグビークラブ、神戸親和女子大学、流通科学大学の合同チーム

【PTA 15’s】：　東京フェニックスRC、YOKOHAMA TKM、ARUKAS QUEEN KUMAGAYA WOMEN’S SEVENS RUGBY FOOTBALL CLUB の合同チーム

【チーム大阪】：　寝屋川ウィメンズ、ORSレディース、阿倍野HOLLY’S、Rugirl-7 WESTの合同チーム

＜高校の部＞
1位：関西
2位：九州
3位：関東

■MVP
FW 高野眞希(日本体育大学ラグビー部女子)
BK 平野恵里子(日本体育大学ラグビー部女子)

＜高校の部＞
FW 齊藤未奈(関西)
BK 須藤ちひろ(九州)