瀬川HC「セブンズ強化にはさらなる時間必要」 アジア王者も、危機感募らす
仁川アジア大会で3連覇を達成した男子セブンズ日本代表が3日に帰国。夕刻、日本協会で会見をおこなった。
会見には負傷して病院へ直行した渡邊昌紀(リコー)を除く選手11人と瀬川智広ヘッドコーチ(HC)が出席。指揮官は「チームとして合わせる時間がない中で、坂井主将を中心に試合ごとに良くなっていった」と振り返った。
今回は十分な準備ができたとは言えない状況だった。橋野皓介(キヤノン)、豊島翔平(東芝)、小澤大(トヨタ自動車)ら、これまで経験を積んできたコアスコッドがトップリーグでのケガでリタイア。さらに大会2日目には渡邊が負傷。残り試合の出場ができなくなった。
「渡邊が“試合には出られなくても、できる限りチームをサポートしたい”と言ってくれて、さらにチームが一つになりました」(瀬川HC)
コアスコッド不在の穴を埋めたのが、リーチ マイケル(東芝)。瀬川HCは「彼はラグビー力が高い。一番心配だったのは、3日間連続して試合があること。セブンズに慣れるよりもコンディションを優先した」と、準決勝まではできる限り出場時間を抑え、大一番の決勝でフル投入(後半10分に交代)。リーチの加入でキックオフでのキャッチングが桑水流裕策(コカ・コーラ)との2枚看板になったことが、戦力的に大きく働いた。
もっとも本人は「久しぶりにセブンズに呼ばれて自信持って臨んだら、最初の練習で(自信が)なくなりました」と笑わせた。15人制日本代表の主将は「ディフェンス、アタック、すべてが15人制と違う。常に動き続けて常に判断しないといけない」と難しさを口にしながらも「オリンピックも出たい」と今後にも意欲を見せた。
3大会連続の金メダルだが、喜んでいられない現状もある。
「各国とも強化を進めていることを改めて実感した。今回の金メダルが(現時点では)ギリギリの線。オリンピック出場に向けて、さらなる強化を進めないと」と瀬川HC。
まずはセブンズに割く時間を増やしてほしい、との言葉に力を込めた。
8年前のドーハ大会での金メダルメンバーで今回、豊島の負傷で急きょメンバーに招集されたセブンズのベテラン鈴木貴士(クボタ)の実感も、瀬川HCの危機感を裏付ける。
「もっとセブンズに充てる時間を長くして特化した選手を育てていかないと、今後は厳しいかもしれない」
休む間もなく、来週末の11日からはHSBCセブンズワールドシリーズが始まる。第1戦の舞台はオーストラリア、ゴールドコースト。今回のメンバーから参加するのは4名、あさってには成田を飛び立つ。
「また新しいメンバーになるので、さらにできることを絞り込んでいく。まずはディフェンスの安定性」(瀬川HC)