関西大学Aリーグ展望 開幕節から見逃せない好カード4試合!
10月5日(日)、近鉄花園ラグビー場で関西大学Aリーグが開幕する。今年の関西リーグは、「万人御礼(まんにんおんれい)プロジェクト」と題し、さまざまな集客策を行っているが、開幕前には、FM802(10月3日、13:45頃 Ciao! MUSICA)、FM COCOLO(10月3日、14:55頃、FRIDAY AFTERNOON DELIGHT)などのラジオ番組でも告知し、さまざまな企画について説明。関西のラグビーファンに情報を伝えようと工夫を凝らしている。
10月5日の4試合に目を向けよう。従来、近鉄花園ラグビー場で開幕するときは、2つのグラウンドを使用して同時に試合を行っていたが、今年は初の試みで時間をずらす。それぞれの試合をじっくり見てもらおうという配慮だ。そして、最後の同志社大学×天理大学の後半には、すべての人が第1グラウンドに集まることができるようにしている。事実上の「優勝決定戦では」という声さえある同志社と天理の戦いは目が離せない。
第2グラウンドの第1試合は、関西学院大学×近畿大学。創立125周年を迎えた関西学大は、185?、100?のNO8徳永祥尭(とくなが・よしたか)ら全国高校大会でベスト4になった高等部のメンバー、そして、大阪朝高のPR金寛泰(きむ・がんて)、CTB金尚浩(きむ・さんほ)ら逸材の揃う学年が4年生となり、満を持して5年ぶりの優勝を目指す。対する近大は、神戸製鋼でプレーした松井祥寛(まつい・よしひろ)が新しくヘッドコーチに就任してチームを作り直している。「関学大の胸を借り、1戦1戦勝利して、最後は選手権出場を目指したい」(松井ヘッド)。粘り強い守りが勝利の鍵。攻撃では、プレーメーカーのSO酒井貴弘(さかい・たかひろ)に注目したい。
第2試合は、昨季3位の京都産業大学と、入替戦で関西大学を破ってAリーグ復帰を果たした摂南大学の対戦だ。京産大は神戸製鋼入りした山下楽平など主力が卒業して苦しいシーズンが予想されているが、元木由記雄(もとき・ゆきお)ヘッドコーチは、「スペースを奪うディフェンス、ボールを奪ってのアタック、京産らしいスクラムでゲームの流れを作っていく」と力強い。キャプテンのSH梁正秋(りゃん・じょんちゅ)は、大阪朝高が全国大会ベスト4に進んだときのSHだ。「関西リーグ優勝しか頭にない」とこちらも頂点だけを見据える。対する摂南大は、3年生まで公式戦出場のないLO溝尻将己(みぞじり・まさき)がキャプテンに就任し、献身的に体を張るプレーでチームを引っ張る。U20トンガ代表のFLフェツアニ・ラウタイミ、NO8セコナ・トプイというパワフルな選手もおり、番狂わせを狙う。
第1グラウンドの第1試合は、連覇を狙う立命館大学と昨季5位の大阪体育大学の戦い。大体大は、PR伊尾木洋斗(いおき・ようと)ら運動量豊富なFW第一列を軸に大型選手が防御を崩す伝統のスタイル。NO8福本翔平キャプテンもスピードがある。王者を倒す力は秘めているが、立命館大もFL萩原寿哉(はぎわら・としや)、学生屈指のPR西村颯平(にしむら・そうへい)ら経験ある選手に、高校王者の東海大仰星からCTB山田一輝(やまだ・かずき)ら才能ある選手が加入。昨季の全国大学選手権で関東勢と互角に戦った経験は何ものにも代えがたい。優勝争いの行方に影響を与える試合になる。
最後の試合は、昨季2位の同志社大学と、昨季6位天理大学が相まみえる。昨季は全国大学選手権出場を逃した天理大だが、6月の同大との練習試合ではモールからトライを奪って勝利し、BKの展開力だけではない、多彩な攻撃を披露した。フィジーからの留学生であるCTBジョシュア・ケレビが成長し、トンガ人留学生モセセ・トンガとのCTBコンビは大学レベルでは屈指の突破力を誇る。対する同大も、PR北川賢吾(きたがわ・けんご)を中心にした強力スクラムを武器に、ジュニア・ジャパンのSH大越元気(おおこし・げんき)がテンポよくパスをさばき、決定力を増すWTB松井千士(まつい・ちひと)が大きなストライドでトライラインを駆け抜ける。同大は、昨季より防御システムを変更し、外側から内側に追い込むように前に出てプレッシャーをかける。天理大も防御に接近したパスプレーを得意とする。どちらが攻守に前に出られるのか。楽しみな一戦だ。
関西のラグビーファンの皆さん、ぜひ、近鉄花園ラグビー場へ。
<関西大学Aリーグ開幕節・対戦カード>
■10月5日(日) 大阪・近鉄花園ラグビー場
●第2グラウンド
11:30 関西学院大学 対 近畿大学
13:30 京都産業大学 対 摂南大学
●第1グラウンド
12:00 大阪体育大学 対 立命館大学
14:05 同志社大学 対 天理大学
【筆者プロフィール】
村上晃一(むらかみ・こういち) ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。ラグビーマガジン、ナンバー(文藝春秋)などにラグビーについて寄稿。J SPORTSのラグビー解説も98年より継続中。99年、03年、07年、11年のワールドカップでは現地よりコメンテーターを務めた。著書に、「ラグ ビー愛好日記トークライブ集」(ベースボール・マガジン社)3巻、「仲間を信じて」(岩波ジュニア新書)などがある。BS朝日ラグビーウィークリーにもコメンテーターとして出演中。