コラム 2014.09.02

イングランドが大改革  プロの女子ラグビー選手誕生

イングランドが大改革
 プロの女子ラグビー選手誕生

 女子ラグビーワールドカップ優勝も後押しとなったに違いありません。RFU(イングランドラグビー協会)は8月25日、7人制ラグビーが実施される2016年のリオデジャネイロオリンピックへ向け、女子セブンズ代表の20名とフルタイム契約を結んだと発表しました。イングランドで初めてとなるプロの女子ラグビー選手誕生です。

 先月パリでおこなわれた女子ラグビーワールドカップで優勝を遂げた女子15人制イングランド代表のうち、セブンズを兼任している12人も含み、小学校教員という顔を持つ主将のケイティ・マクリーンは「ラグビー界にとって素晴らしいニュースです。そしてイングランド代表の一員として、世界のトップであり続けるためにまさに必要としていたことです」と、地元メディアのBBCに喜びを語っています。警察官、ガーデナー、学生のほか、水道蛇口の修理やトイレの水まわり部品の交換などをしていたマーリー・パッカーも、これからはラグビーで給料をもらいます。

 RFUとの契約期間は基本的に1年単位。どれくらいの金額が選手たちに支払われるのかは定かではありませんが、一時的ではあっても、いままでの仕事を辞めてラグビーに専念するため、お金に関して心配することがないくらいの収入は得られそうです。

 プロ契約を結んだ女子選手たちはシーズン中、ロンドン郊外のトゥイッケナムやギルフォードを拠点とし、週に5日間、フルタイムのプログラムをおこないます。
 イギリス代表として2016年オリンピックで金メダルを目指す彼女たちは、今年12月4日に幕を開ける「IRB 女子セブンズワールドシリーズ 2014-2015」でのオリンピック出場権獲得を最初の目標としており、9月から本格的に活動を始める予定です。
 プロのラグビー選手となる彼女たちが優先するのはセブンズですが、スケジュール次第では15人制の国際試合や女子プレミアシップ(国内大会)にも参加します。

 イングランドのスポーツ界ではすでに、サッカー、ホッケー、クリケットで女子のプロ選手がいるそうですが、ラグビーもこれらの競技に続き、将来は憧れの職業のひとつになるかもしれません。

 現在、イングランドの女子のラグビー競技人口は約1万8000人と言われていますが、女子ラグビーワールドカップ優勝で注目度は増しており、RFUは2017年までに女子プレーヤーをさらに1万人増やすと意気込んでいます。

 英国メディアの『ザ・テレグラフ』によれば、オリンピック競技となった7人制ラグビーを強化するために女子選手をプロ化したのはオランダが最初で、オーストラリア、ニュージーランド、アイルランド、南アフリカ、カナダ、アメリカ、ロシア、スペインも先例に続きました。

 日本にもいつか、プロの女子ラグビー選手が誕生する日が来るでしょうか。
    

〔写真:体育教師として働いてきたスターBK、エミリー・スカーラットもプロラグビー選手に〕
(Photo: Dan Sheridan@INPHO)

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