国内 2014.08.21

いよいよ開幕! 「大阪ダービー」プレビュー

いよいよ開幕! 「大阪ダービー」プレビュー

 8月22日(金曜)、12年目のトップリーグが開幕する。午後7時30分より、東京、大阪で2試合が同時にキックオフとなる。大阪市長居の金鳥スタジアムで激突するのは、NTTドコモレッドハリケーンズと近鉄ライナーズだ。ともに大阪に本拠地を持つ者同士の「大阪ダービー」である。
 8月19日、大阪の心斎橋では、プレイベント「大阪ダービー、バトルトーク」が開催され、NTTドコモから、バイスキャプテンのHO泉敬(いずみ・ひろ)、SH秦一平(はた・いっぺい)、近鉄ライナーズから日本代表のLOトンプソン ルーク、WTB島直良(しま・なおよし)という4選手が参加して舌戦を繰り広げた。「バトル」と銘打ったものの楽しいトークになったのだが、近鉄は昨季10位、NTTドコモは15位で3季連続の入替戦出場という不本意な戦績に終わっていることもあって、巻き返しへの意気込みも熱く語った。
「私が選ぶジャパン!」コーナーでは、それぞれが独自の考えで15人を選んだ。ここに、それぞれのポジションに対する考え方も表現されて興味深い内容に。もちろん、チームメイトの名もあがった。NTTドコモの両選手が選んだのは、PR久富雄一とNO8箕内拓郎のベテランコンビだった。元日本代表キャプテン箕内に対しては、「そこにいるだけでオーラが違います。僕もあんな選手になりたい」(泉)と存在感を絶賛。近鉄の島選手は、4番、5番の両LOにトンプソンを選び、「トモさんが2人いてくれたら、こんなに頼もしいことはない」とその豊富な仕事量の質の高さを称えた。トンプソン選手が選んだチームメイトは、CTBイエロメジェフリー剛と、FB高忠伸。「イエロメが相手にいたら嫌だと思う。高は地味なタイプの選手だけど、安定感があり、日本代表に選ばれてもおかしくない選手」と評した。ともにプレーする仲間から評価の高い選手の実力は確かだ。観客の皆さんも注目してみてはどうだろう。
 昨季のトップリーグでは、21−20という僅差で近鉄が勝っているが、今年6月の練習試合では、32-28でNTTドコモが勝利した。近鉄を率いる前田隆介監督は、「(ドコモは)粘り強くアタックしてくるチームです。開幕戦では、6月の借りを返したい」と言えば、NTTドコモの下沖正博監督も、「近鉄はフィジカルが強い。負けないように、こちらもアグレッシブに向かっていきたい」と応じた。
 開幕戦を前に発表された両チームのメンバーでは、残念ながらNTTドコモの箕内は欠場するが、スクラムの強さには定評のある久富は先発。近鉄では、高、そして日本国籍を取得したばかりのイエロメが先発する。イエロメが日本名として加えた「剛」は、「つよし」と読む。近鉄応援団からは間違いなく「ツヨシ〜!」の声援が飛ぶだろう。
 新戦力では、近鉄の11番にスーパーラグビーのハリケーンズで活躍したアンドレ・テイラー、13番に13人制ラグビーのサモア代表だったフランス・ウィンターステイン、NTTドコモのリザーブには、南アフリカからやってきた大型CTBヨハン・サディーがいる。どの選手も突破力があり、世界トップレベルのプレーは見逃せない。メンバーを眺めれば、近鉄の個々の攻撃力が優るように見える。NTTドコモとしては、スクラム、ラインアウトを安定させ、自分達の攻撃時間をどれだけ長くできるかが勝利の鍵になりそうだ。
 ちなみに、バトルトークでは、「チームNo.1のイケメン」をあげるコーナーもあった。今回のメンバーでいけば、NTTドコモでは、熊谷肇、近鉄では、フランク・ウィンターステインの名があがった。こちらのイケメンぶりも注目である。
【NTTドコモレッドハリケーンズ】
1 久富雄一、2 神野慧二郎、3 北島大、4 熊谷肇、5 朴淳彩、6 佐藤大朗、7 川田涼、8 スティーブン・セテファノ、9 秦一平、10 茂木大輔、11 茂野洸気、12 中矢健、13 パエアミフィポセチ、14 渡辺義己、15 リアン・フィルヨーン、16 緑川昌樹、17 西浦洋祐、18 張泰?(土へんに育)、19 ヴィンピー・ファンデルヴァルト、20 辻井宏介、21 辻埜拓也、22 ヨハン・サディー、23 才口將太
【近鉄ライナーズ】
1 豊田大樹、2 太田春樹、3 申東源、4 トンプソンルーク、5 松岡勇、6 辻直幸、 7 タウファ統悦、8 ラトゥイラレプハ、 9 金哲元、10 重光泰昌、 11 アンドレ・テイラー、12 イエロメジェフリー剛、13 フランク・ウィンターステイン、14 田中優介、15 高忠伸、16 樫本敦、17 田邉篤、18 才田修二、19 山口浩平、20 ラディキ・サモ、21 森雄祐、22 坂本和城、23 森田尚希

【筆者プロフィール】

村上晃一(むらかみ・こういち)
ラグビージャーナリスト。京都府立鴨沂高校→大阪体育大学。現役時代のポジションは、CTB/FB。86年度西日本学生代表として東西対抗に出場。87年4月ベースボール・マガジン社入社、ラグビーマガジン編集部に勤務。90年6月より97年2月まで同誌編集長。出版局を経て98年6月退社し、フリーランスの編集者、記者として活動。ラグビーマガジン、ナンバー(文藝春秋)などにラグビーについて寄稿。J SPORTSのラグビー解説も98年より継続中。99年、03年、07年、11年のワールドカップでは現地よりコメンテーターを務めた。著書に、「ラグビー愛好日記トークライブ集」(ベースボール・マガジン社)3巻、「仲間を信じて」(岩波ジュニア新書)などがある。BS朝日ラグビーウィークリーにもコメンテーターとして出演中。 

 〔写真:左からドコモのSH秦一平、HO泉敬、近鉄のLOトンプソン ルーク、WTB島直良〕 
(写真提供/佐久間康之)

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