U18関東女子選抜、U18香港に完勝! 輝く個性と笑顔。
いろんな個性が輝いていた。セブンズ仕込みのラン自慢。小柄なタックル好き。がっちり系のパワー女子も。
U18関東女子代表だ。5月29日、来日中のU18香港女子代表と対戦した同チームは46-0と圧勝。選手たちは15人制ラクビーの醍醐味を発揮し、存分に楽しんだ。
江戸川区陸上競技場でおこなわれた35分ハーフの試合は、走力とスピードに上回る関東女子が時間が深まるとともに差を開いていった。「サニックス ワールドラグビーユース交流大会 2014 女子セブンズ」で世界一になった関東選抜の中心選手のひとり、佐藤優が主将、SOを務め、バティヴァカロロ ライチェル 海遥、清水麻有も両CTBを務める。BKの積極的な仕掛けとFWの献身的な仕事ぶりが噛み合い、攻守ともに圧倒した。
序盤は香港が大柄な体格とパワーを使い、深く攻め入る時間帯もあったが、関東の低いタックルと運動量の多い試合展開に体力を奪われ、次第に鈍った。普段はセブンズをプレーする時間がほとんどの関東の選手たちは、とにかく元気だった。
これまでに何回かのセレクションマッチをくり返し、選ばれた選手たちが、この日ピッチに立った。今後も同様のサイクルをくり返し、個々に不足している15人制の試合感覚を積み重ねる。継続的育成のなかでの活動だ。
チームの指揮を執った小泉幸一ヘッドコーチは、「多くの選手は、普段はセブンズをプレーする機会ばかりです。そのなかでFWで起用した選手たちがよく頑張ってくれました。学校の部活動に所属している選手は毎日練習できますが、クラブの子は週1回しか動けない。そういう選手たちにとっては、こういう試合やトライアルマッチもとても貴重な機会。みんな楽しんでやってくれました」と笑顔だった。我孫子高校ラグビー部を率いる小泉先生は、市立船橋高校時代に女子部員を受け入れ、広く門戸を開く流れを作った人。現在も熱心に指導を続け、赴任当初は5人ほどしかいなかった我孫子高校ラグビー部の部員を30人に増やし、女子部員も6人活動している。
この日主将を務めたSO佐藤優、副将のHO橋本亜美も同校で活動をしている選手で、彼女らは男子部員とともに、毎日練習に励んでいる。
普段はSO、CTBでプレーしている佐藤はフル出場を果たし、「70分プレーしたのは初めて」と充実の表情だった。セブンズで国際試合を戦う機会も増え、「世界を近く感じるようになってきた」と言う好ランナーは、男子との部活動のなかで、「スペースを見つけて動いたり、周囲を使うプレーでは(自分も男子に対抗して)やれる」と感じている。
「15人制はセブンズよりスペースがないように感じ、(この試合で)最初のうちはあまり動けなかった。でも、次第にうまくやれるようになったし、楽しかったです」
ただ、「接点があまり好きじゃない(笑)」ので、将来はセブンズで五輪を目指す。船橋ラグビースクール→八千代ラグビースクール→我孫子高校と続いているラグビー人生は、もう14年。歩んでいる道は、確実に世界へ向かっている。
この日、それぞれの選手の個性がより輝いて見えたのは、「接点は…」と言う佐藤のような選手がランニングで光ると同時に、「接点好き」も多くいたからだ。スピードスターの多いセブンズでは、なかなかそうはいかない。
副将の橋本は普段、我孫子高校ではFLとしてプレーしている。「タックルが好きなんです。接点やラックは、自分を活かせる」と嬉しそうだった。だから夢は五輪より、15人制の女子ワールドカップ。
3番で約60分プレーした廣田美弥も、自分の特性をより出せる15人制が大好きだ。長野工ラグビー部の唯一の女子部員。普段はWTBでプレーし、セブンズも楽しむが、15人制になると最前列で暴れる。
「ボールを持って前へ出るプレーが好きなんです。楽しかったぁ(笑)」
中学時代はバスケットボール部。高校では女子の部活動は弓道部に限られていたため、バスケット部のマネージャーを務めていた。そんなとき、ラグビー部の顧問から誘われて楕円球の道に足を踏み入れた。現在の女子ラグビーの環境では15人制試合を経験できる機会が少ないため寂しい思いをしているが、将来は15人制で活動できる大学への進学も視野に入れて進路を考えている。
「もっともっと、プレーしたいんです(笑)」
6月1日(日)には、東京・辰巳の森ラグビー練習場で対U18香港女子代表の第2戦(15:00キックオフ/最終戦)がおこなわれる。U18女子関東・関西合同のパフォーマンスに注目だ。