国内 2014.01.13

強いぞ、サニックス! 三菱重工相模原との大一番制し、TL復帰へ大きく前進

強いぞ、サニックス! 三菱重工相模原との大一番制し、TL復帰へ大きく前進

sanix

力走するサニックスの永下キャプテン。チームを力強く牽引し、流れを引き寄せるトライも獲得
(撮影:Hiroaki. UENO)

 トップリーグ昇格を争うなかで、事実上の決定戦ともいえる対決だった。昨年度まで8季連続でトップリーグにいた福岡サニックスブルース(トップキュウシュウA)と、今季イーストリーグ・ディビジョン1を圧倒的強さで制した三菱重工相模原ダイナボアーズの激突。ファイナルスコアは34−20、制したのはサニックスだった。

 ホンダヒート(トップウェストA:1位)と横河武蔵野アトラスターズ(トップチャレンジ2勝利チーム/トップイーストDiv.1:2位)を含む、三地域リーグの上位チームによるトップチャレンジ1が、12日に福岡・レベルファイブスタジアムで幕を開けた。この4チームは総当たり戦を行い、1位になったチームは自動的に日本最高峰リーグのトップリーグに昇格する。2〜4位のチームは今季トップリーグ下位チームとの入替戦に回る。
 
 2季ぶりのトップリーグ復帰を目指すサニックスは、この1年間徹底的に鍛えられたFWがブレイクダウンで優位に立ち、後半は突破力あるBKが躍動、ディフェンスも粘り強かった。

 前半3分、サニックスは新加入のWTB屋宜ベンジャミンレイが自陣10メートルラインから飛ぶように左サイドを突破し、先制トライを挙げた。対する三菱重工相模原は、ペナルティゴール(PG)を決めたあとの17分、2011年ワールドカップの優勝メンバーである元オールブラックスのSOスティーブン・ドナルドがパワフルにインゴールへ飛び込み、サポーター席を沸かせた。

 互いにアタックはスピーディーで、激しいタックルの応酬。ちょっとしたミスが出ればターンオーバーで一気に敵陣深くへ持ち込む。だが、ハイレベルの戦いでは、簡単にはトライは生まれない。三菱は、大型FWがモールでゴールに迫るもサニックスは踏ん張り、テンポよく攻め上がっても、ブルージャージーの男たちがブレイクダウンで激しくファイトし、思うようにボールを出せなかった。

 ひたむきに前進してくるダイナボアーズのアタックに耐えたサニックスは、PG2本を成功し、11−10とリードして前半を終えた。

 ラスト40分の死闘。後半7分、サニックスの藤井雄一郎監督が先に動いた。FWバトルのキーマンのひとりであるPRベン・メイら3選手をベンチへ下げ、バックラインに決定力のあるCTBカーン・ヘスケスとFBダニエル・スレイマンを投入する。

 作戦は見事に機能した。後半15分、サニックスはカウンターアタックでFBスレイマンが疾走し、WTBベンジャミンレイ、CTBロビンス ブライスもサポートして左ゴール前に迫り、すぐに右へ展開。中央でボールをもらったキャプテンのHO永下安武が、「相手は外にいるカーン(ヘスケス)に目が行く」と冷静に判断し、自ら勝負してトライラインを越えた。

 その後、三菱重工相模原に逆転を許したサニックスだったが、22分にパントリターンからWTBベンジャミンレイがブレイクスルー、CTBヘスケスがサポートしてインゴール右隅に飛び込み、再びリードを奪った。

 そして25分に、三菱重工相模原の司令塔ドナルドが故意の反則で10分間の退出となってからはサニックスのペース。SO田代宙士がPG2本とドロップゴールで加点し、熱戦に決着をつけた。

 大一番に敗れたダイナボアーズの高岩映善監督は、「自分たちの不要な反則で敵のペースに持っていかれた。大きな差はないと思っている。ただ、ディシプリン(規律)の部分で、差が出てしまった」と試合を振り返った。

 一方、大きな1勝を手にしたサニックスの藤井監督は、「まだ昇格が決まったわけではない」と喜びを露わにすることはなかったが、「みんなよくガマンして、勝利に結びつけてくれた」と選手たちを称えた。

 「1年間この日のために練習してきた。ディフェンスをかなり強化してきたし、ブレイクダウンは相手が大きな選手ばかりでかなり圧力はあったと思うが、しっかりボールをキープして、相手ボールを取ることもできた。(この1年間で)やってきたことの半分でも発揮できればいいだろうと思っていた」

 降格の悔しさを忘れることなく、チームを徹底的に鍛えて得た、確かな自信があった。

 目標達成まであと2勝。勝点4を手にしたサニックスは次節(1月19日/東京・駒沢陸上競技場)、横河武蔵野と対戦する。あとがなくなった三菱重工相模原(勝点0)は、ホンダ戦に全力を注ぐ。

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