トップリーグ残留に望みつないだドコモ。 コーラ、九電も自動降格のピンチ
(撮影:Hiroaki. UENO)
トップリーグに参戦して3季目。下位グループでセカンドステージ0勝5敗だった最下位のNTTドコモは、順位がひとつ上の九州電力と総勝点の差が「7」開き、のこり2試合で1敗でもすれば、地域リーグ(トップウェストA)へ降格する絶体絶命のピンチに追い込まれていた。
1月11日、セカンドステージ第6節。佐賀・ベストアメニティスタジアムで、その九州電力と対決。両チームの会社関係者など、ファンが熱い声援を送るなかサバイバルゲームは行われ、ドコモが執念で、31−21で激闘を制した。
「負ければ終わりの崖っぷち。相手にポイントを獲られても終わりという状況のなかで、数多くの応援に見守られて、耐えて耐えて勝つことができた。次につながる試合ができたと思います」(NTTドコモ・下沖正博ヘッドコーチ)
前半は硬さが見られたドコモ。ハンドリングエラーを連発し、攻めてもオフサイドなど反則でチャンスを逃した。
すると前半35分、九州電力がクイックスローインからスピーディーに攻め上がり、CTBドウェイン・スウィーニーのパワフルな突進で均衡を破る。
押され気味だったドコモは、前半最後に敵陣22メートルライン内でペナルティチャンスを得た。だが、ショットは選択せず。
「私個人の判断としてはゴールを狙おうとしたんですが、10番の茂木や経験ある箕内(NO8)が『のこり時間は少ないけど、ここは攻めよう』ということだったので、司令塔の判断でトライを狙いに行きました」(NTTドコモ・LO吉岡宏樹キャプテン)
前半のラストワンプレーにかけて右へ展開、CTBパエア ミフィポセチが鋭い出足で襲ってきた九電のCTBスウィーニーをかわしゴールに迫り、最後はNO8箕内拓郎がインゴールにねじ込んだ。
5−7でハーフタイム。
後半序盤、九電はまだ勢いがあり、スピードあるアタックでドコモの防御網を何度も突き破ろうと試みた。だが、38歳になった元日本代表主将、NO8箕内が体を張ってがっちり止める。触発されたようにドコモの選手たちはハードタックルを連発し、流れを引き寄せた。
後半6分、ドコモがモールで押し切って逆転。4分後、相手に細かくつながれてゲームをひっくり返されたが、14分にFWがしつこく前進し、またも箕内がインゴールに飛び込んだ。活気づいたドコモは20分にキックパスからトライを奪い、27分には再びモールで追加点。31−14とする。
34分に九電に3トライ目を奪われ10点差となり、フルタイムを知らせるホーンが鳴るなかゴールラインを背にしたドコモ。しかし、必死に守り切り、九電にボーナスポイントを1点も与えることなく試合終了。地獄行きを決める戦いは、最終節までもつれることとなった。
「ドコモさんの気迫、FWの強さに圧倒され、エラーを起こしてしまった」と九州電力の平田輝志監督。
一方、勝ったNTTドコモの下沖ヘッドコーチは「第5節までミスで自滅するような試合が続き、今日もミスは多かったが、全員でカバーできた」と安堵の表情を見せ、吉岡キャプテンは「以前まで課題だったラインアウトやスクラムでいいプレッシャーがかけられたんじゃないかなと思います。来シーズンもトップリーグでプレーするために、最後の豊田自動織機戦に向けてこの一週間しっかり準備したい」とコメントした。
なお、下位で苦しむもう1チームのコカ・コーラウエストは、NTTコミュニケーションズとの試合でブレイクダウンを支配され、21−27で痛い黒星を喫した。
この結果、総勝点14のコカ・コーラウエスト(Bグループ6位/全体14位)と、総勝点11の九州電力(Bグループ7位/全体15位)、そして総勝点9のNTTドコモ(Bグループ・全体で現在最下位)が、最終節の結果次第では自動降格の可能性をのこした。
最終戦、NTTドコモは18日に大阪・近鉄花園ラグビー場でワイルドカードトーナメント出場を目指す豊田自動織機(Bグループ2位)に挑み、コカ・コーラウエストと九州電力は19日に福岡・レベルファイブスタジアムで直接対決する。