0-17から。明学、学習院に勝つ。関東大学対抗戦B、上位決戦始まる。
リードを許すも、落ち着いて流れを引き寄せた明治学院大SO上原哲。(撮影/松本かおり)
関東大学対抗戦Bの上位争いが熾烈だ。4戦を終えて無敗だった立教大、明治学院大、学習院大の3校が、対抗戦Aの7位、8位チームと戦う入替戦へ進出する2枠を争っている。10月27日の学習院大×明治学院大から、3校間での直接対決が始まった。
目白の学習院大グラウンドでおこなわれた学習院大×明治学院大は、クロスゲームとなった。
先に流れをつかんだのはホームチーム。スクラムで大きなプレッシャーを受けながらもなんとかマイボールを確保し、工夫を凝らして前に運んだ。前半12分に相手キックを受けた後のカウンター攻撃から好機をつかむと、ボールを大きく動かす。WTB江見翔太(背番号は14/7人制日本代表)からSO中村大志につないで先制トライ。18分にPG。22分にはスクラムからの仕掛けが奏功してトライ(FL五十嵐健太)を追加し、17-0のリードを奪う上々の立ち上がりだった。
エースの江見は、この時間帯を「自分たちの雰囲気に持っていけた」と振り返った。ただ悔やまれるのは、その直後だ。「緩んでしまった」と顔を歪めたのは、決して長い時間ではなかった。でも、あっという間に貯金を吐き出した。
決して小さくない差をつけられて、明治学院大は目を覚ました。27分、敵陣深くのスクラムでPKを得ると、NO8三嶋創太郎がインゴールに飛び込んだ。その5分後には自陣からSO上原哲が抜け出す。WTB岩水耀平を走らせた。点差は僅か3点に。それまで前に出ていた学習院大の防御が迷い、崩れた数分間だった。
32分、学習院大はグラバーキックを拾い、走った江見が右スミに飛び込む。しかし明治学院大も40分にWTBが勝負強さを見せる。池田純主将が左タッチライン際を走り切った。結局前半は22-21という僅差で終わった(学習院大の1点リード)。
学習院大はエース江見翔太を軸に序盤を制したけれど…。(撮影/松本かおり)
前半の体感をもとに、うまく修正したのは追う立場の側だった。後半の明治学院大はキックを減らし、ボールを持ち続ける。池田主将は、「学習院はどこからでも仕掛けてくるので、相手にボールを持たせないようにしようと。自分たちの強味であるFWで近場を攻めるというスタイルを軸に展開しようと戦い方を変えました」と言った。
「序盤、点差をつけられたときも慌てなければ大丈夫だと思っていた」(池田主将)と感じていた明治学院大は、描いたプランを実行した。
SH津田祥之介がテンポよくボールをさばき、FWを順目、順目と動かす。小さなブレイクが起こると、BKラインがいっきに前に出る。後半13分にPGを決め、ついに24-22と追い越すと、必死で抵抗する学習院大をジリジリと押し込んだ。
勝負を決めるトライは27分だった。ターンオーバーから攻め、敵陣へ。FW、BK一体となってトライラインに迫る。最後は左隅に飛び込み29-22。そのままのスコアでフルタイムを迎えた。
敗れた学習院大のエース江見は、「後半、楽しくプレーできなかった」と語った。自分たちが相手を動かせた序盤と大きく違い、流れは相手の手の中に。小さくてもいいから、しつこく圧力をかけ続けたかった。
ただ、伝統の『段縞』ジャージーを着たからには簡単に諦めるわけにはいかない。「次の立教戦、やります」と下を向くことはなかった。
辛うじて勝利を手にした明治学院大の池田主将は、「きょうの試合はひとつのヤマ場と考えていました。いつも通りの戦い方でなんとか勝ててよかった」と胸をなで下ろした。
成城大との戦いを経て、11月23日には立教大学と戦う。その日に向け、「まだうちのラグビーは完成していないので、高めていきたい。その時間は十分あると思いますので」と言った主将は、最後に力を込めた。
「自分たちの納得できるラグビーをすれば、結果は絶対についてくる。勝てる。そう信じています」
対抗戦Aとの入替戦は12月7日。どのチームも、その日まで成長を続けてこそ新たなステージに歩を進められる。