セブンズ 2013.09.24

【現地発レビュー】男子セブンズ日本代表、タイで香港に『さよなら勝ち』。

【現地発レビュー】男子セブンズ日本代表、タイで香港に『さよなら勝ち』。

タイセブンズを制したジャパン。延長1分、ロマノ・レメキ(中央)のトライで

香港に劇的なサヨナラ勝ち。(撮影/出村謙知)

 

 

 

 アジアの7人制において、日本が過去何度も紙一重の勝負を繰り広げてきたライバル。香港である。今季のHSBCアジアセブンズシリーズ第2戦のタイセブンズでも激突した。アジアの盟主の座を争う好敵手とカップファイナルで対戦した。

 

 

 9月22日に行われた大一番で、最初にペースをつかんだのは今回も香港だった。これも両者の対戦ではよくあることだ。決してフィットネスに優れているとはいえない相手。当然、キックオフからラッシュをかけてきた。
 しかもジャパンは、カップセミファイナルまでは圧倒的なボールキープ率を誇っていたキックオフを失敗する。自分たちのミスで、相手の勢いを増してしまうような立ち上がりにしてしまった。

 

「香港にワイドに攻められるとキツい思っていたら、タテに来た」(瀬川智広ヘッドコーチ)
 やや想定外だった香港のアタック。開始2分、4分と連続トライを奪われ、12点のビハインドを背負うかたちで前半を終了した。

 

 タテにディフェンスを割られ、トライを奪われたのは想定外だった。しかし、香港が前半にすべてをかけてきたのは想定内。だから慌てなかった。「あれだけディフェンスして、2つしか取られなかった」と瀬川HCが振り返ったとおり、むしろ守り切った手応えを感じた前半でもあった。
「ハーフタイムには焦らないように指示を出した。まずは1本とりましょう、と。みんな落ち着いている感じだった」
 前半終了時点でのチームの雰囲気を語ってくれたのは、自らのことを7人制では「ベテラン」ともいう坂井克行キャプテンだ。

 

 予想どおり、後半は日本のアタック時間が多くなった。それでも、すでに多くの7人制代表選手がプロとなっている香港は、反則してでも日本のアタックを止める粘りを見せる。後半2分に鈴木貴士が1トライを返した後、両チームとも得点を重ねられない時間帯が続いた。

 

 ようやく試合が動いたのは試合終了1分前だ。今大会計11トライを重ねたロマノ・レメキ、後半勝負を決めるために投入されていたジェイミー・ヘンリーなどのブレイクから、小澤大が左隅に飛び込む。同点に追いついた。

 

 そして最後は、ジャパンがフィットネスでの優位性を証明した。延長1分、相手ミスからのカウンターでレメキが香港ゴールに飛び込んだ。いつもどおりの熱戦に終止符を打った。

 

「中島(進)の空中戦はアジアトップレベル。伊藤(拓巳)の力強いランニングとディフェンス。小澤、鈴木といった経験ある選手も、厳しい状況の中でもチームをまとめてくれた」(瀬川HC)
 これまでとは違うメンバー構成で挑んだ大会で手応えをつかんだタイセブンズ制覇だった。

 

 

(文/出村謙知)

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