レッドハリケーン吹く。好調NTTドコモにニューパワーあり。
コミュニケーション能力の高さを買われてSOに起用されている茂木大輔。(撮影/出村謙知)
NTTドコモの快進撃が続いている。
9月8日、トップリーグ第2節の最終ゲームとして、札幌・月寒屋外競技場(ラグビ―場)で行われた対豊田自動織機戦。開始14分までに0-17と大きくリードされたNTTドコモは、ハーフタイムを挟んだ10分間の勝負どころで3トライを挙げるなど、試合巧者ぶりを見せて34-30と逆転勝ちした。
開幕2節終了時点で勝ち点10を挙げているのは、NTTドコモ以外では王者サントリーだけ。昨季シーズン勝ち点8しか獲得できなかったチームとは思えない開幕ダッシュぶりだ。
「春からフィジカル、メンタル、両方を強化してきた」と下沖正博ヘッドコーチは、ひとりひとりのベースが上がったことが好成績につながっていると胸を張る。ベテランNO8箕内拓郎も「肉体的にも意識としても、ようやくトップリーグで戦うレベルになってきた」と、チームの成長に手応えを感じている。
昨季からのメンバーのレベルアップの一方で、新戦力の活躍も目覚ましい。
開幕2試合で指令塔としてチームを勝利に導いたのはパナソニックから移籍してきたSO茂木大輔だ。「相手の嫌なところ探してスペースを見つけることを心がけてプレーしている」という新司令塔は、もともとSHだったことを生かしたアクロバティックなボールさばきでチャンスを生み出す。その一方で、コミュニケーターとしての能力も高く評価されている。
「日本人特有のコミュニケーション能力の高さをチームに持ち込んでくれている」(下沖HC)
茂木がSOに定着し、ロングキックとカウンターが魅力のリアン・フィルヨーンがFBのポジションに下がれることも、チーム戦術の幅を広げる結果になっている。
スーパーラグビーのチータースやシャークスで活躍してきたフィルヨーンは「よくボールが動くし、テンポも速くて、プレーしていて楽しい」と、新チームでのプレーを堪能中。豊田自動織機戦ではひとりで24得点(2トライ、4ゴール、2PG)を挙げて、マン・オブ・ザ・マッチに選ばれた。
過去2シーズンとは比べられないほど威力を増している赤いハリケーンによる旋風はどこまで続くのか。次節は9月14日、大阪・長居での神戸製鋼戦となる。
(文/出村謙知)