国内 2013.09.06

復活したトヨタの大物FWカイノ 王者倒しの最前線に立つ

復活したトヨタの大物FWカイノ 王者倒しの最前線に立つ


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トップリーグ今季初戦でフル出場し、トヨタ自動車の逆転勝利に貢献したジェローム・カイノ
(撮影:出村謙知)


 



 9月1日に豊田スタジアムで行われたTOYOTAダービーによる開幕ゲーム。
 試合終了7分前まで豊田自動織機に6—18とリードされていたトヨタ自動車の土壇場での大逆転劇は、この男の存在なしには成し遂げられなかっただろう。
 ジェローム・カイノ。
 11年W杯優勝メンバーである元オールブラックは、低くドライブする迫力満点の突破を繰り返し、今季「フィジカルで圧倒する」スタイルを貫くヴェルブリッツの攻撃起点になり続けた。
 この日、よく前に出るDFで健闘した豊田自動織機も、近場を攻めて来るカイノをトライライン手前ギリギリで止めるのが精一杯。 “カイノ後”に少し外側のスペースを攻められると、終盤の3分間に2度インゴールを明け渡し、金星は消えた。
「織機はいいプレーをしたが、トヨタの最後の10分間の集中力も良かった。苦しい試合を経験したことで、チームはさらに伸びていけると思う」



 昨季、鳴り物入りでトヨタ自動車入りしたカイノだが、肩の負傷もあって、不本意なシーズンを過ごしてしまう。
 レギュラーシーズンでの先発出場は5試合のみ。記録したトライは1本だけ。チームがプレーオフスポットを逃した一因にもなった。
 今年は春シーズンからいち早く日本にやってきて、チームと一緒にトレーニングを続け、開幕前の時点で廣瀬佳司監督をして、「プレシーズンで一番伸びたのはカイノ」と言わしめる状態の良さでシーズンイン。
 いきなり開幕ゲームで80分間フル出場し、圧倒的な存在感を示して、劇的な逆転劇の土台を支える働きを見せた。
「肩も100%の状態。たくさんのプレシーズンの時間をチームと一緒に過ごせて、いいトレーニングもできた。昨シーズンよりもチームにフィットしている」
 開幕戦では6番でフル出場したが、7日のサントリー戦(和歌山・紀三井寺運動公園陸上競技場)では、菊谷崇に代わってNO8で先発予定。
 当然、ジョージ・スミスとの直接対決も楽しみだが、「もちろん1対1で負けるつもりはないが、それよりもチームのためにいかにタフにプレーできるかが重要」と、あくまでも組織プレーにフォーカスしている。
 欠場する菊谷をして、「何人にタックルされても全く倒れないで、どんな場合でも立ってボールを生かす」というベーシックな強さで際立つ世界一のバックローが王者倒しの最前線に立つ。


(文・出村謙知)


 

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