【RWCセブンズ現地発】伝わる試合を。男子日本代表はボウル戦へ。
ロシア戦で何度も仕掛け、チャンスを作った成田秀悦。(撮影/長尾亜紀)
「勝てなくて悔しいです」
ピッチから戻ってきた瀬川智広ヘッドコーチの第一声だ。
ワールドカップ・セブンズ2日目。初日、スコットランドに17-19と敗れた男子7人制日本代表は、プールBの残り2試合を戦った。南アフリカに0-33と完敗したジャパンは、ロシアと引き分けて(12-12)プールBの3位に。それが確定した直後、冒頭の言葉が指揮官から出た。
大会前に掲げた目標は「ベスト8」だった。プールBのトップだけを狙っていた瀬川ヘッドコーチは大会中も、「少しでも上の順位を目指すとかでなく、それ(8強)しか考えていない」と言い続けた。そのために目の前の相手に集中する。選手選考、入れ替えも、先を見ることなく、「いま」だけを見つめた。それでも1勝すら手にできない現実が歯がゆかった。
それでも、チームの状況は一戦ずつ上向いてきた。完敗した南アフリカ戦すら、競ったスコッドランド戦より手応えはあった。それがチームの実感だ。日本らしさの物差しは、ボールの動く量。南アフリカ戦は「ブレイクダウンの2人目で負けた」(瀬川HC)と分析したように、世界のトップチームに総合力の違いを見せつけられたが、ロシア戦ではボールも人も動くスタイルが高まったからこそ先に2トライを奪えた。
それでも勝利を手にできなかった現実に、坂井克行主将は、「世界で勝つのは簡単ではないと、あらためて肌で感じました」と言った。
「(引き分けに終わったロシア戦は)勝てる試合でした…。悔しい。追い上げられても、足が動いていたので慌てることはなかったのに」
12-0と先にリードを奪えたのは、キックオフボールの確保や、仕掛けていく積極的な姿勢を示せたからだ。しかし、その一方で勝負所でミスが出る。不意に相手にボールが渡ったときの反応が遅れ、リードを守りきれず。悪い習慣を、最後の最後には払拭したい。
ロシア戦で腰の強さを活かしてトライを奪ったり、体を張った小原政佑は、自身の活躍を「それまでミスをしたり、迷惑をかけてばかりだったので必死でした。一人ひとりのやるべきことをやっただけ」と振り返った後、上向きにあるチーム状態を語った。
「ボールが動き出したのは、一人ひとりの間隔をあけ、スペースを広くとってプレーできるようになったから。自分は、期待されている外へのスピードで勝負し、チャンスを広げる役になりたい。最終日も、それを思い切ってやりたい」
ボウルトーナメントの初戦はフィリピン。この大会のアジア予選では競り勝った相手に、完勝してファイナルの舞台へ突き進みたい。最高位でも全体の17位だけど、「見ている人たちが何かを感じるセブンズ」(瀬川HC)を。キーワードは、小原の言うような「思い切り」。日本スタイルを余すところなく発信しない限り、先へは進めない。
ジャパンに熱いメッセージを送るファン。期待に応えたい。(撮影/志賀由佳)