セブンズ 2013.05.11

妻への愛。友への想い。日本セブンズの核、坂井克行の心意気。

妻への愛。友への想い。日本セブンズの核、坂井克行の心意気。


充実の表情を見せる坂井克行。強靱な足腰が爆発力を呼ぶ。(撮影/松本かおり)



 守る人ができて、さらに強くなれそうな気がする。坂井克行だ。7人制日本代表のキャプテンを務めてきた男はいま、シアワセと責任を強く感じている。


 



 昨年10月におこなわれたワールドカップ・セブンズのアジア予選、3月末の東京セブンズと存在感を示した。キャプテンらしく、流れを引き寄せるビッグプレー。正確なキックでチームを勢いづかせる。日本のセブンズに欠かせぬ男は、1か月半後に迫ったワールドカップ(ロシア)に向けて気持ちを高めている。


 


 


 5月6日から東京・辰巳の森ラグビー練習場を中心に行われているセブンズシニアアカデミー。厳しいトレーニングに励んでいる24歳が言う。
「今回の合宿でもキツイ練習をしています。チームが取り組んできた、ブレイクダウンを多く作ってスペースを作り出すスタイルは変わらないけど、よく動き、ボールを空いたスペースに運べるかどうかが大切と、東京セブンズであらためて分かりました。だから、もっと動けなければいけない。そのためのベース作りを進めています」


 



 リーダーは充実している。昨年9月に入籍した妻・真希さん(高校時代の同級生)と、「スケジュール的にここしかない」と4月27日に挙式。「あらためて結婚した実感がわいてきた」(本人談)という責任感が、重圧も少なくない立場にある男を支えている。
 披露宴には早大時代の同期たちも参加。その中には、薬物使用による2年間の資格停止処分中だった山中亮平(神戸製鋼)もいた。挙式翌日に資格停止処分が解けることを知っていた新郎は、司会者に頼んで山中のサプライズスピーチの時間を用意した。
「最初は関西人らしく笑いをとったんだけど、その後は再起の強い気持ちを語っていました。伝わってくるものがあった」
 伴侶を得た。苦楽をともにした同期が戻ってくる。坂井は、いろんな喜びを自分のパワーに変えられる男だ。


 



 6月末のワールドカップに向けての準備、2016年のリオ五輪への出場権獲得を目指し、この先もハードスケジュールが続くセブンズ代表。新婚早々に家を長くあけても、気持ちよく送り出してくれる妻に感謝する。今合宿後には新婚旅行でハワイに向かうが、「ワイキキのビーチを走りまくります」と笑うのは、5月23日から6月4日までフィジー合宿が行われるからだ。


 


 経験値が高くなればなるほど、世界で勝つことの難しさを強く感じる。だからリーダーは、それくらいの覚悟がないと大舞台では笑えないと気を引き締める。


 

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