威風堂々の帝京大が4強入り 挑戦者・立命館は猛タックル連発で善戦
立命館大の粘り強いタックルを振り切ろうとする帝京大LO小瀧尚弘
(撮影:松本かおり)
聖地は160分沸いた。12月23日に行われた、秩父宮ラグビー場での大学選手権セカンドステージ。帝京大学×立命館大学、東海大学×明治大学の2試合は、それぞれ48−12、45−36のスコア。ともに勝者が大量点を奪う試合となったが、4チームそれぞれがチームカラーを出し合った。
第1試合を引き締めたのは立命館大学の前へ出る気持ちだった。80分を通して衰えなかったタックルの意欲。FWは重くて激しい真紅の突進を受け止め、BKはシャローで飛び出た。攻めては、前半7分過ぎに敵陣深くで得たPKを蹴りだし、トライラインに迫る。ラインアウト後のモールを押し切って、トライを挙げた。
前半の最後の最後、40分の経過を告げた後のキックがタッチに出ると、帝京大がクイックスローイン。WTB磯田泰成がトライを奪って20−7とする。4連覇を狙う王者が13点差をつけて後半を迎えたが、そのトライの直前までは15−7と僅差の展開だった。立命館大はCTB市原淳平、HO庭井佑輔、FL萩原寿哉らがタックル、ブレイクダウンで激しさと粘りを見せ、必死で食らいついた。
ただ後半に入り、挑戦者のタックルは変わらぬままなのに、じりじりと得点差が開く。最後は48−12と帝京大完勝の様相となったが、勝った岩出雅之監督は、立命館大のスピリットに敬意を表した。
「特に前半、(立命館大は)ハードなディフェンスをしていました。我々は、その中で得たものを今後に活かしていきたい」
立命館大の記者会見終了時には報道陣から拍手が送られた。挑戦者が出し切る。王者は堂々。スコアの差が気にならない好ゲームだった。
試合後は唇を噛みしめながらも、下を向くことはなかった。立命館大の中林正一監督とLO落合佑輔主将だ。
「部員にとっては初めての秩父宮でした。一つひとつのプレーを積み重ねて大きな流れを生みたかった。選手たちは勝つつもりでピッチに立った。(この戦いを終えて)スタートラインに立てたと思う。4回生が残したものを糧に下級生が頑張ってくれるはず」
中林監督は、選手たちをそう称えた。
「気持ちは伝えられたとは思う。前半はダブルタックルで止めました。ただ、後半はこちらがダブルタックルをしても、相手のつなぎが上回った」
落合主将は冷静だった。そして、後輩に思いを託した。
「もっと身体をデカクして、帝京大にも通じるフィジカルを」
思いを束にして挑んできた相手をしっかり受け止めた帝京大は、どれだけプレッシャーを浴びようと乱れなかった。徹底して基本プレーに立ち返る。前へ出たときに殺到し、うしろへ下げられそうなときに固まった。
「我慢強くいこう。そう言いました。これから先の戦いは短期決戦。選手たちのいいところを引き出してあげたい」
岩出監督は、「ここからは本当の試合、勝負をする。最後は凄みが出るような仕上がりに」と語った。