コラム 2012.12.12

IRBメンバーは100カ国に到達  2016年までに競技人口600万人へ

IRBメンバーは100カ国に到達
 2016年までに競技人口600万人へ

 11月下旬、国際ラグビーボード(IRB)の会議がダブリンで行われ、アラブ首長国連邦(UAE)ラグビー協会が正式加盟メンバーとして承認されました。ギリシャも、フルメンバーのステータスが試験的に与えられましたので、IRBに加盟している国・地域の数はこれでちょうど「100」に到達しました。准加盟国を含めれば、118ユニオンです。


 世界の人口の約60%を占めるアジア。IRBはラグビー発展のために重要な地域と認識しており、毎年300万米ドル(約2億5000万円)を投じ、アジアラグビー協会と協力して戦略的な普及・育成活動を行っています。
 UAEの競技人口は、ライセンスを持つシニア約1300人に対し、未成年プレーヤーの数は約
4600人。今年は初めて、19歳以下の代表がアジア大会に参加するなど、確実に成長している姿を見せました。将来、セブンズ・ワールドシリーズのドバイ大会や、15人制のアジア5カ国対抗戦で、UAE出身のスター選手が活躍するのも時間の問題でしょう。



 ラグビーの競技人口は、未登録のプレーヤーも含めると、世界に約550万人いるといわれています。IRBが2011年のラグビー界をまとめた報告書によると、日本の競技人口は12万2368人。そのうち4659人が女子です。日本ラグビーフットボール協会は、ワールドカップをこの国で開催する2019年までに、競技者を20万人に増やすという目標を掲げています。かなりハードルの高い数字ですが、ホストネーションの責任として、あと7年間でこの目標に進んでいかなくてはなりません。



 人気拡大のためには日本代表の活躍が不可欠ですが、エディー・ジョーンズHC率いるジャパンは今秋の欧州遠征でもしっかり結果を残し、着実に成長していることを証明しました。そして、日本代表のSH田中史朗、HO堀江翔太、FLマイケル・リーチは、南半球の猛者が集うスーパーラグビーに挑戦しようとしています。「世界」を意識することが、発展につながるのは間違いありません。
 幸いにも、近年は多くの世界的スター選手が日本でプレーするようになり
ました。ソニービル・ウィリアムズ(パナソニック)、ジェローム・カイノ(トヨタ自動車)、ブラッド・ソーン(福岡サニックス)、ミルズ・ムリアイナ(NTTドコモ)、ジョージ・スミス(サントリー)、フーリー・デュプレア(サントリー)、ジャック・フーリー(神戸製鋼)、アレサナ・ツイランギ(NTTコム)、シェーン・ウィリアムズ(三菱重工相模原)……。
 すでに楕円球を持って走り始めている少年少女も、そうではない子どもたちも、
ヒーローたちの姿を見て、ラグビーに夢中になってくれればと願います。



 オーストラリアラグビー協会は今年12月11日、競技人口が初めて30万人を突破したと発表しました。4年連続で上昇しており、過去最高の32万3115人を記録。昨年から23%増、2009年と比べると68%増ということになります。7人制の競技者は、昨年から150%増で3万9000人を超えたとか。



 セブンズがオリンピック競技として正式に採用されたため、オーストラリアだけでなく、世界各国でラグビー人口は増加しています。IRBは、歴史的瞬間を迎える2016年までに、競技人口を現在の550万人から600万人に増やすという目標を掲げました。
 キーワードは、「Try, Play, Stay」。 
 トライして楽しむことから始めてもらい、情熱を保ち続けられる環境
、安全にプレーできる環境を整える。そして選手、コーチ、レフリー、管理人、ボランティアまたはファンとして、ラグビー界にとどまってもらえるよう、しっかりサポートすることが重要なカギとなります。



 IRBでは、特に新興国でのクリニックに力を入れ、コーチやレフリーの
育成も支援していく予定です。道具提供や人材派遣、教育、指導を積極的に行い、まずはブラジル、コロンビア、メキシコ、トリニダード・トバゴ、ベルギー、チェコ、ドイツ、ポーランド、ルーマニア、中国、コートジボワール、チュニジア、ジンバブエなどで、多くの人々をラグビーに引き込むためのプログラムを始めます。
 


 ラグビー界のさらなる発展へ。


 ちなみに、IRBの最新報告書では、競技人口ベスト10は以下のようになっています


 



1.イングランド(199万998)
2.南アフリカ(65万1146)
3.アメリカ(45万7983)
4.フランス(36万847)
5.オーストラリア(32万3115)  ※ オーストラリアのみ、同国ラグビー協会が2012年
12月に発表した数字
6.スコットランド(21万7057)
7.アイルランド(15万3823)
8.ニュージーランド(14万6893)
9.アルゼンチン(12万5776)
10.日本(12万2368)


 


 


(写真:Victor Fraile, HKRFU)

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