国内 2012.11.04

福工大が宿敵破り九州2連覇 「全国で勝つ!」と挑戦状

福工大が宿敵破り九州2連覇 「全国で勝つ!」と挑戦状


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V2達成。九州代表として全国大学選手権大会に出場する福岡工業大
(撮影:Kiyoshi Takenaka)


 


 


 九州学生リーグの2012年度チャンピオンを決める戦いが、11月3日に福岡・春日公園球技場で行われ、福岡工業大が40−38で福岡大を破り、2連覇を達成した。同時に、2季連続21回目の全国大学選手権大会出場も決定。出場チーム数を増やしてステージ制を導入した同大会で、福工大はまず、11月18日から始まるファーストステージへ進む。



 今季の九州学生リーグ1部では、実力が接近する大学同士の試合を増やすため、「順位決定リーグ」をやったあとに「決勝リーグ」を実施して、優勝校を決めることになっていた。そのため、福工大と福大は今季2度目の対戦。
 9月の試合で黒星を喫した福工大は、絶対に借りを返したいと思ってい
た。対する福大は、昨季は1次リーグを全勝1位で通過しながら、第2ラウンドの最終戦で福工大に敗れ栄冠を逃しており、雪辱に燃えていた。



 試合は前半、福工大がFWの強さを発揮して2トライで先に主導権を握った。34分には22メートル内での速攻からCTB千々和晃が左隅に飛び込み、早くも3本目。2年ぶりの王座奪還を狙う福大も意地を見せ、セットプレーから2トライを返し、21−12で折り返した。



 後半早々、9点を追う福大は敵陣22メートル内のポスト正面でペナルティをもらった。しかしゴールは選択しない。なぜなら、勝点差を「4」つけられていたため、相手にボーナスポイントを与えずに勝ちたかったからだ。
「トライを取りまくるしかないと思ったんです。たとえ逆転しても、8点
差ではこわい。最後の40分だから、とにかく攻めようと決めていました」(福岡大・FB加藤誠央キャプテン)



 迷わずスクラムを選択した福大。FW・BK一体となって少しずつ福工大の壁を崩し、副将のLO田場啓祐がインゴールにねじ込んだ。その5分後には、ゴール前でFWがピック&ゴーを繰り返し、PR石橋耕輔がラインを越えて逆転。スタンドのサポーターも盛り上がり勢いづく福大。58分には、ゴール前右でのスクラムから中央へ展開し、途中出場のSO秋吉佑亮がわずかなギャップを突いて、抜けた。
 福大が後半開始20分間で3連続トライを挙げ、21−33と立場は逆転した



 しかし、「絶対、福大に借りを返して、全国に行こう。あきらめんな!」というFL下川兼典キャプテンの言葉通り、黙って押される福工大ではなかった。69分、敵陣での左中間ラックからテンポよくつないで、WTB日高勝太がゴールまで走り切った。これで福工大は4トライ目。ボーナスポイント獲得で息を吹き返す。5分後にWTB日高がまたもや左を抜けて、35−33と再びリードを奪った。



 その約3分後、福大キャプテンのFB加藤が22メートル外から右を突き破って執念の逆転トライを挙げたが、79分、自陣22メートル付近でのタックルでターンオーバーに成功した福工大は、一気にカウンターアタックを仕掛け、WTB日高をSO中村広樹がサポートして、シーソーゲームに決着をつけた。



「福大さんは背水の陣で臨んできて、下へのタックルも厳しかった。意地と意地のぶつかり合いでした」
 試合後、勝った宮浦成敏監督は安堵の表情を浮かべていた。
「でも、(福工大の選手は)逆転されて離されても、あきらめなかったですね。気持ちを切らさなかった。怪我人も出て、後半最初の15分間は悪い流れに。相手のバックスリーは走れる選手が揃っているので、安易なキックはするなと指示していたんですけど、そこを徹底できず、福大のペースにはまった。でも気持ちを切り替えて、重点的に取り組んできたボールキープとディフェンスを、最後は発揮してくれました」



 九州代表となった福岡工業大は、再び全国に挑戦する。新方式になった大学選手権大会ではまず、「北海道・東北地区代表」と「東海・北陸・中国・四国代表」との戦いを勝ち抜かなければならない。宮浦監督は、昨年度の1回戦で帝京大に6−96と大敗した責任を感じていた。



「これまでの九州勢も苦戦しましたが、新方式になったのは我々の責任だと思っています。だから選手たちには、『もう一度、帝京大にチャレンジしよう』と言ってきました。それが今年度のスタートです。レベル差はかなりあると思う。まだまだ遠い。でも、今日のようにしつこく戦って、意地を見せたい。九州代表として、セカンドステージへの出場権はとらないといけない。そうでないと、福大さんにも申し訳ない。そこからが本当の勝負だと思っています」



 下川キャプテンも指揮官と思いは一緒だ。
「九州の戦いしか知らなかったのが、昨年度の全国大会で帝京大に大敗して、自分たちのレベルを認識できました。あれから、選手たちの意識はだいぶ変わったと思う。九州を獲っただけでは満足していません。目標は全国で勝つこと。ファーストステージを突破して、関東・関西勢も集うセカンドステージで勝つことが自分たちの目標です」


 


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九州の空には福岡工業大の宮浦監督が舞った
(撮影:Kiyoshi Takenaka)

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