国内 2012.09.01

サントリー×NEC 捌いて、蹴って試合を優位に

サントリー×NEC 捌いて、蹴って試合を優位に

 前半32分。NECのSH櫻井朋広が球を高く蹴る。仲間の再獲得を促したかったが、思った位置に落とせなかった。昨季王者、サントリーのSHフーリー・デュプレアは、ボールを確保するや外へ捌く。相手のタッチライン際をカバーする選手が前がかりになる傾向を知っていたため、次の局面では無人の空間にキックした。中盤から敵陣ゴール前へ侵入する。櫻井には「陣地を見るのがうまい」と驚かれた。2012年8月31日、東京は秩父宮ラグビー場を支配した。日本最高峰ラグビートップリーグの開幕戦を39−15で制した。
 汗で球が滑り球を回しづらいとされる高温多湿下、肉弾戦でNECが圧力をかける。そんななかデュプレアは僅かな隙間をくぐり、パスを放ち、敵の死角にキックした。11−10と1点リードの後半、サントリーは接点へ2、3番目に加わる選手が顔を上げ、相手の出方を牽制するようにした。結果、背番号9は水を得た魚になった。後半のNECは、FL宮本誉久の一時退場もあり守備で前に飛び出しづらくなっていた。マン・オブ・ザ・マッチのデュプレアは、「相手の壁にぶち当たって、ぶち当たって、最後に攻められた」。


(文・向 風見也)


 

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