引退した英雄マットフィールド IRB規定で復帰プラン消滅
南アフリカ代表のハイネケ・メイヤーHC(ヘッドコーチ)から引退撤回を熱望され、新チームのキャプテンとして期待されていたヴィクター・マットフィールドだが、選手復帰のプランはほぼ消滅した。
世界のラグビー史に残るセカンドローと言われたマットフィールドは、昨年のワールドカップ後に引退を表明し、バーバリアンズ(世界選抜)メンバーとして出場した年末のオーストラリア代表戦を最後にブーツを脱いだばかり。それでも、類まれな才能と、優れたリーダーシップを持つ男に現役復帰を求める声は多く、指揮官は公然と引退撤回を要望、本人も復帰に前向きと見られていた。
しかし、「待った」をかけたのはIRB(国際ラグビーボード)のルール。
IRBの「アンチ・ドーピング」規定では、引退した選手は禁止薬物使用の検査対象から一度離れているため、選手復帰しても6カ月間はインターナショナルラグビーではプレーできないことになっているのだ。よって、35歳のマットフィールドが競技者として復活すると宣言しても、6月のイングランド戦や8月からのザ・ラグビーチャンピオンシップ(南半球4カ国対抗戦)などには間に合わないため、復帰計画は事実上なくなった。
英雄のカムバックはならなかった南アフリカだが、約2週間後に始まるイングランドとのテストシリーズに向け、メイヤーHCは42名のトレーニングスコッドを発表。代表候補選手たちは5月27日と28日にプランニングキャンプを行い、最終スコッド(32名)入りを目指す。
主将候補のSHフーリー・デュプレア(サントリー)やユーティリティBKのフランソワ・ステイン(ラシン・メトロ)など、スーパーラグビーに参戦していない海外ベースの選手たちは今回のキャンプメンバーには含まれていないが、新生スプリングボクスに加わる可能性はある。FLスカルク・バーガー(ストーマーズ)など故障から回復していない選手は、6月の代表戦は見送られる予定。