関東大学春季大会 開幕! 粘りの慶應が拓大に競り勝つ
大学生世代の強化策として、この春に発足した第1回関東大学春季大会の開幕試合にあたる一戦が行われた。対戦したのは、昨季関東大学対抗戦5位だった慶大と関東リーグ戦1部8位に終わった拓大。拓大・八王子キャンパス内のグラウンドで14時にキックオフとなった試合は、31-27で慶大が競り勝った。
先制したのは慶大だったが、ゲームの多くの時間を支配したのは拓大だった。「現時点のAチームで臨んだ」(遠藤監督)という拓大は、SO岩谷のゲームメイクもよく、個々の持つ力をよく活かす。スピードスターWTB大松がチャンスメイクにも、フィニッシャーとしても動き回り、後半21分までに5トライを奪い27-10と大きくリードを奪った。
しかし、ラスト20分に動き勝ったのは黒黄のジャージーだ。残り10分、ラインアウト後のモールを押し込んで10点差に迫ると、残り3分でPR青木が飛び込んで2点差。タイガー軍団はインジャリータイムに入っても運動量で拓大を上回り、最後はゴール前のブレイクダウンを制し切ってPR山田が持ち込んだ。31-27の逆転勝ちだった。
慶大・田中監督はこの試合について、出場メンバーにこう言った。
「ファーストジャージーを着るかぎり勝利を」
伝統ある定期戦や以前から決まっている招待試合もあり、今大会の4試合も加え、毎週のようにゲームが入ることになった春シーズン。田中監督は、「今季から大学選手権の試合数が増えたこともあって、本来は春に鍛え込みたいところ」と言ったが、新たな試みを前向きにとらえている。
「公式戦というステイタスの中でのゲームは、本当に選手を成長させます。だから、若手の育成とともに勝利を追い求める、そのバランスをとりながら取り組んでいきたい。その中で、きょう結果を残せたのは評価できるし、力になる」
田中監督は試合後の円陣で部員を前に、「最後に勝ちきった、あの粘り。あれこそ慶應ラグビー」と出場選手を労った。怪我のFL茂木主将、FL石橋ら3人のU20日本代表組を欠いた布陣での勝利は、チームにとって少なくない収穫。しかし、「本来は、4トライを奪い、相手をノートライか2トライ以内に抑えて勝つのが自分たちの目指しているスタイル。それを追い求めていこう」とチームの方針を再確認、再徹底することも忘れなかった。
敗れた拓大・遠藤監督も、これまでの春シーズンになかった効果を口にした。
「慶應と公式戦で戦えるというのは、これまでにはなかったこと。また、リーグ戦の相手とのオープン戦では大味な展開のものが多かったので、こういう僅差で決まる試合を戦えるのはいい経験になりますね」
ちなみにこの日はAチーム同士の公式戦に加えBチーム、Cチーム戦も行われ、B=50-43、C=43-12と、慶大が3試合とも手にした。
いい季節に、フレッシュな戦い。関東大学春季大会は、関東大学対抗戦と関東大学リーグ戦の上位4チーム、下位4チーム同士がたすきがけでそれぞれ4試合ずつを戦う新設の公式戦。戦いは7月まで続く (撮影:松本かおり)