ワールドカップ 2011.10.21

オーストラリアが銅メダル獲得 ウエールズ魂は死なず

オーストラリアが銅メダル獲得 ウエールズ魂は死なず

 2011ラグビーワールドカップNZ大会は21日、オークランド(イーデンパーク)で3位決定戦が行われ、オーストラリアが21-18でウエールズを破り、銅メダルを獲得した。オーストラリアは前半9分にFBビールが左太もも裏の故障を再発させ、その約12分後には司令塔クーパーがステップを切った際に右膝を痛め退場。バックラインのキーマン2人を欠いたオーストラリアだったが、この試合で100キャップ獲得のLOシャープなどがチームメイトを鼓舞し、ディフェンスの奮闘などで粘るウエールズを振り切った。


 


 試合は前半12分、オーストラリアが敵陣22メートル内右でのスクラム後、CTBバーンズが中央を突破し先制トライを獲得した。前半のテリトリー獲得が34%と苦しんだウエールズは20分、SOフックのペナルティゴール(PG)成功で3点を返す。ともにハンドリングエラーが多く、7-3のロースコアで最初の40分を折り返した。


 


 後半のウエールズは44分、SOフックが決めるべきPGを外して悪い流れを引きずったが、49分、ハーフウェイ付近のブレイクダウンでターンオーバーに成功すると、SHフィリップスのショートキックで壁をこじ開け、SOフックのパスは乱れたものの、左サイドを駆け上がったWTBシェーン・ウィリアムズが巧みな2度のキックでボールを前方へ転がし、自ら押さえて逆転のトライを挙げた。
 しかし、後半も敵陣で優位にゲームを進めたオーストラリアはWTBオコナ
ーのPGで再びリードを奪うと、68分にはバーンズにドロップゴールが飛び出し安全圏へ。キックで3点を返されたオーストラリアだったが、76分にNO8マッコールマンがトライ獲得で勝負あり。
 10点差でロスタイムに入り、もはや勝ち目はなくなったレッドドラゴンだった
が、それでも30フェーズを重ねゴールへの執念を見せると、最後はFBハーフペニーがトライを奪い、ウエリッシュ魂をラグビー王国NZで示して試合終了の笛を聞いた。


 


 オーストラリアがワールドカップで銅メダルを獲得したのは初めて。ヤングワラビーズは悔しさと自信を心に沁み込ませ、ニュージーランドを去っていく。次の大きなターゲットは、2年後のブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズとの決戦だ。
 敗れたウエールズは、現役トライ王のWTBシェーン・ウィリアムズや同国代表104キャップを持つSOスティーヴン・ジョーンズが年内に代表引退するのはほぼ確実。しかし、FLウォーバートン、NO8ファレタウ、CTBロバーツ、CTBデーヴィス、WTBノース、FBハーフペニーなど活きのいい若手が今大会で大きく飛躍し、近く黄金時代の到来を予感させた。


 


(文・竹中 清/オークランド)


 

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