アイルランドの勢い止まらず 8強入り狙ったイタリアを圧倒
ニュージーランドの南島ダニーデンで2011ラグビーワールドカップNZ大会プールCの最終試合が行われ、アイルランドがイタリアを36-6で破り、同組1位で準々決勝進出を決めた。勝てば初めてベスト8入りの可能性があったイタリアだが、ハイテンポでパワフルなアイルランドを崩せず、夢は潰えた。
アイルランドのチームカラーである緑色が3分の2を占めたオタゴスタジアム。前半のボール支配率は58%でイタリアが上回ったが、アイルランドは約6割を敵陣で戦い、攻撃に勢いを見せた。
前半7分、アイルランドがSOオガーラのペナルティゴール(PG)で先制した。対するイタリアは、FWの強さを武器に前進し、11分、WTBベルガマスコのPGで同点に追いつく。その後、アイルランドが2本、イタリアが1本PGを成功させ、9-6とアイルランドが3点リードでハーフタイムへ。
後半もPGで先に得点したアイルランドは、47分、敵陣10メートル付近からWTBボウがブレイクスルーに成功しディフェンダーを引き付けると、内側でサポートに入っていたCTBオドリスコルに鮮やかなパスをつなぎ、この試合最初のトライを演出した。50分過ぎにはCTBダーシーが強烈なハンドオフとパワフルランで22メートル内に入り込むと、左右の速攻で最後はWTBアールズがゴール左隅に飛び込み追加点。試合終了間際にはアールズがこの日2本目のトライを決め、アイリッシュサポーターの大歓声が屋根付きスタジアムでこだまするなか、試合終了を告げる笛が鳴った。
アイルランドはディフェンスプレッシャーが速く、イタリアにチャンスメイクを許さなかった。ブレイクダウンでの集まりの速さもゲーム支配の要因となった。一方、前半はスクラムとモールで強さを発揮したイタリアだが、後半はプレッシャー下で苦戦。ハーフ団は創造性にかけ、バックスの突破力のなさも8強の壁を突き破るための大きな課題となった。
なお、イタリア代表のニック・マレット監督は今大会を最後に勇退することが決まっており、ワールドカップでの奇跡は起こせぬままアズーリに別れを告げた。
すでに優勝候補の一角であるオーストラリアを倒し、今大会で最も勢いがあるアイルランドは、8日の準々決勝でヨーロッパのライバルであるウエールズと対戦する。
(文・竹中 清/ダニーデン)