海外 2014.07.02

田中史朗に決断のとき ニュージーランドにサヨナラか

田中史朗に決断のとき ニュージーランドにサヨナラか

tanaka

田中史朗(Photo: SACHIYO YAMADA)

 過去2年間、8月から10月にかけてはニュージーランドの国内選手権(ITMカップ)で活躍してきた日本代表のSH田中史朗だが、今秋はパナソニック ワイルドナイツの一員としてジャパンラグビートップリーグに集中するかもしれない。ニュージーランドの地方紙である『オタゴ・デイリー・タイムズ』が7月2日、「田中は日本に帰る時が来た」と報じた。

 2012年に同国のオタゴに入団した田中は、その名門チームですぐにレギュラーポジションを獲得し、2年連続でITMカップ全試合出場。昨年8月には「ランファリーシールド」奪取に貢献し、ニュージーランドで最も権威ある盾を56年ぶりにオタゴにもたらした。
 ハイランダーズの選手でもあり、日本人初のスーパーラグビープレーヤーだ。地元サポーターにも愛され、『オタゴ・デイリー・タイムズ』によれば本人は永住権取得を望むほどニュージーランドでの生活を気に入っているようだが、母国のワイルドナイツが“ジャック”と呼ばれる男を必要としている。昨季トップリーグのファーストステージではイーリ ニコラスや高安厚史などが穴を埋め、今季は内田啓介という期待のルーキーも新加入したが、世界クラスのプレーヤー相手に戦ってきた田中の存在は大きく、トップリーグ連覇を目指すパナソニックには欠かせない重要な戦力なのだ。

「私も妻もニュージーランドでの生活を本当に愛しており、この国にとどまりたかったです」と地元紙に語った田中。今季スーパーラグビー終了後に帰国することになりそうだが、またニュージーランドに戻りたい気持ちは強いという。

 身長166センチ、体重75キロ。スーパーラグビーで最も小柄な男だが、強い闘争心と速い仕掛けでチームに勢いを生み、そのスキルは南半球最高峰舞台でも十分通用することを証明した。しかし、ハイランダーズにはオールブラックス(ニュージーランド代表)の9番をつけるアーロン・スミスがおり、今季スーパーラグビーではベンチを温める時間が多かったのも事実。

 現時点では、ハイランダーズと再契約を結ぶかどうかは不明で、来季スーパーラグビーでプレーするかしないかもわからない。しかし、この勇ましき野武士がチャレンジ精神を失っていないことは確かである。

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