国内 2022.11.30

東海大、初のリーグ戦5連覇達成。波乱の開幕は「必要な時間だった」。

[ 編集部 ]
東海大、初のリーグ戦5連覇達成。波乱の開幕は「必要な時間だった」。
リーグ戦5連覇は東海大初の快挙。1999年から2003年に関東学大が樹立した5連覇に並ぶリーグタイ記録となった(撮影:高塩隆)
パスダミーや裏への好キックで相手を翻弄し続けたSO武藤ゆらぎ(撮影:高塩隆)

 これまでとは違う航路で連覇の数字を伸ばした。
 11月27日。関東大学リーグ戦1部の最終節がおこなわれ、東海大が日大を67-5で破りリーグ戦5連覇を達成した。

 開幕戦では今季2部から昇格した、東洋大に敗れる波乱のスタートだった。しかし、その後は一度も負けることなく(不戦勝1を含む)、勝ち点を積み重ねて掴んだリーグ戦王者の座だった。

「結果オーライということではまったくなく、(優勝できて)本当に良かった」と木村秀由GM兼監督は胸をなでおろす。
「この秋の歩みを振り返ってください」という記者からの問いには、「話せば長くなります」と表情を崩した。

「自分たちのやるべきことをやらなかった結果が、東洋大戦の敗戦につながりました。自分たちの中のどこかに油断やスキがあり、敗れたことでそれに初めて気づいたと思います。
 次負けたら選手権はないと、あえて口に出しました。相手うんぬんではなく、自分たちにフォーカスして、一貫性を持つことが大事だと。選手たちがそれを口だけでなく、心の底から思えているのか、共有できているのかを問いかけてきました。
 選手たちは必死になって取り組んでくれたし、(いまでは)必要な時間だったと感じています。あの敗戦があったからこそ、正しいプロセスを踏めています」

 秩父宮ラグビー場でおこなわれた日大戦では、自分たちが「立ち返る場所」と定めるディフェンスで、ワイドに展開する相手のアタックを封じ込めた。
 前半14分には、敵陣でのパスミスからボールを奪われWTBナサニエル・トゥポウ(直前にはジャッカル)の独走を許すも、失点はこの5点のみ。連続攻撃からの失点は許さなかった。

 3-5とされた27分には、SO武藤ゆらぎの50/22キックで作ったチャンスからモールを押し切り、ペナルティトライで逆転。
 31分、37分にはこの日のプレイヤー・オブ・ザ・マッチに輝いたSH清水麻貴が連続トライを挙げて突き放した。

 27-5で迎えた後半はさらに勢いが加速。前半から好ディフェンスを見せていた相手WTB水間夢翔には手を焼いたが、9分にはSO武藤が意表を突いた突破からそのままインゴールへ。その後も5トライを加えるなど、終始圧倒した。
 21分に敵陣ゴール前でのジャッカルからボールを奪い取り、味方のトライにつなげたFLレキマ・ナサミラをはじめ、両CTB(伊藤峻祐主将、近藤翔耶)の好守も光った。

 大敗した日大は、試合直前に選手権出場が絶たれた状況も、「自分たちのベストゲームをしよう」と意気込んで臨んだ一戦だった。同日、江戸川陸上競技場でおこなわれた第一試合で、東洋大が立正大を破り残りの1枠(3位)を確定させていた。

「最後の最後もう1本つながれば(トライ)、というところでつながらなかった。今シーズンの課題を最後まで修正できませんでした」と中野克己監督は肩を落とす。

 今季は元日本代表主将の菊谷崇をヘッドコーチに迎え、これまで強みとしてきたFWではなく、タレントの揃うBKの展開力で勝負してきた。しかし結果は伴わず、3勝4敗の4位。4年連続の選手権出場は逃した。

 なにより東海大戦では、FWのセットプレーで劣勢に回ったことが敗因として挙げられた。
「いままでやってきたFWのセットプレー、特にラインアウトを修正しないと。(来年以降)後輩たちが勝ち進むためには必要なのかなと思います」とFL平坂桃一主将は話す。

 中野監督も平坂主将同様、原点回帰を示唆した。
「(菊谷HCが取り組んできたことは)まだ完成形にはほど遠いです。とは言っても、日大らしさであるセットプレーをもう一度再建して、今シーズン取り組んだことの上積みになればと思っています」

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