「やってきたことに自信がある」。入替戦に進む大東大の矜持。
約1か月ぶりの実戦機会に感謝した。
11月27日、秩父宮ラグビー場でおこなわれた関東大学リーグ戦の最終節で、すでに入替戦が決まっていた2校が対戦した。昨季の3位、4位が入替戦に進むとあり、今季のリーグ戦の波乱を物語る。
この試合では、大東大が関東学院大を53-20で破った。
大東大は10月30日以来のリーグ戦だった。11月13日に予定していた東海大戦は、部内で発生したコロナによって棄権していた。
遡ること11月4日に、数人の陽性者と濃厚接触者を確認。3日後にも新たな陽性者が確認された。
体調不良で欠席した日下唯志監督に代わり、会見に出席した秋廣秀一コーチが振り返る。
「1週間はボールも触れない隔離の状態でした。それから練習を再開して、3日後にはジュニア戦(19日・東洋大戦)があり、翌週にこの試合を迎えました。(準備期間が)短い中でも大東らしいラグビーができたと思います」
共同主将のFB青木拓己は、「大好きなラグビーが全力でできたことに感謝します」と話し、続けた。
「こういう環境が当たり前ではないですし、入替戦が決まった下位のチームでもこうして応援に来てくださる方々いる。その方々に感謝を表せるのはプレーしかないと。それが僕らのモチベーションになっていました」
スコアボードが何度も動いた前半。4分にPGで先制された大東大は、直後の連続攻撃からLOサイモニ・ヴニランギの突破で逆転する。続く8分にはキックオフからのアタックで、CTBペニエリ・ジュニア・ラトゥの突破&オフロードからWTB伊藤和樹が右端を駆け抜けた(10-3)。
12分にはキックの処理ミスを突かれて同点に追いつかれるも、直後にWTB伊藤が浮かせたキックに反応したSO落和史がゴールラインを越えて、再びリードを奪う(17-10)。しかしPGで点差を詰めた関東学大は、37分にモールから最後はFLラリー・ティポアイールーテルが押し込んで再逆転。前半を20-17で折り返した。
関東学院大にとっては、プラン通りに過ごせた40分だった。
「準備してきた通り、前半は3点(PG)でも得点を刻んでいき、後半の最後にフィットネスで逆転しようと考えていました」(WTB丸山央人ゲーム主将)
ただ、勝負をかける後半に、一進一退の様相が変わった。丸山ゲーム主将は、「(大東大の)留学生に対して受けに回り、思うように戦えませんでした」と話す。
大東大は後半、CTBラトゥが再三チャンスを演出した。7分にルーキーWTB伊藤の2トライ目で逆転すると、スクラムでも優位に立ち、18分にはLOヴニランギが縦突破から2トライ目。30分にはLO佐々木柚樹のキックチャージでこぼれたボールをSO落が捕球し、36-20とリードを広げて大勢を決した(終盤さらに3トライを追加)。
大東大は昨季3位で大学選手権に進んだが、今季は2勝5敗で7位。まさかの入替戦に回った。それでも、青木主将は「結果としては全然ダメ」と前置きしながら、「自分たちのやってきたことが間違ってはいない。そこは自信を持っている」と語気を強めた。
「僕たちはかなり高い目標を掲げて、それに対して真面目に取り組んできたし、一個一個本気でやってきた自信があります。勝敗はそのときの運や条件もあるし、ほとんどの試合で良い勝負ができていました。相手が僕たちよりも強かった、ただそれだけのことだと思っています」
大東大は12月11日に専修大(2部2位)との入替戦に臨む。
同日、関東学大は2部1位の拓大と対戦する。丸山ゲーム主将は、拓大を大東大と似たようなチームと分析。「FWに3人の留学生いて、セットプレーも強い。相手の大きいFWを走らせて、自分たちがボールを保持する時間を長くすることがプランのひとつになる」と話した。
板井良太監督は「まずは今日の結果を真摯に受け止めて、2週間でもう一度立て直したい。かつてはこの素晴らしい秩父宮で大東文化さんと優勝争いをしていたと、彼らにも伝えていました。もう一度、ここ(秩父宮)に戻って来られるように頑張りたいと思います」と話し、残留に向けて決意を固めた。