九州電力 「覚悟」をもったシーズンを…。
今シーズン、トップキュウシュウで1年間戦う九州電力キューデンヴォルテクス。福岡、香椎にあるクラブハウスの食堂には、これまでプレーしてきた選手のネームプレートが並んでいる。これはたくさんの選手が作り上げてきた九州電力の歴史そのものだ。また、節目節目の試合の写真パネルがいたるところに飾られており、それを見るたびにこのチームの存在の大きさを感じさせられる。このチームは日本代表のキャップ保持者であろうが、そうでなかろうが、すべての日本人選手が社員として仕事をしながらプレーしてきた。そのスタイルはいまでも変わっていない。
ここ数年、チームの置かれている環境は悪くなっているのは事実であり、チーム運営の予算も減少している。その結果、今シーズンは外国人選手抜きで戦うことが決まった。正真正銘、社員だけで構成されるチームとなったのだ。1年でトップリーグ復帰が至上命題とされるなか、大きなアドバンテージになると感じるが、選手たちは意外にも前向きに考えている。仕事をしながらラグビーをやる環境を選んで集まった彼らにとって、外国人選手がいてもいなくてもやることは何一つ変わらないからだ。出場のチャンスが増えると考える選手も多く、練習の雰囲気もすごくいい。
「九州電力でラグビーがしたい」
そういった想いを抱いて楕円球を追いかけている少年ラガーマンが福岡にはたくさんいる。その子供たちが今後その目標を失わないためにも、彼らはトップリーグの舞台に立ち続けなければならない。一企業スポーツとしてではなく、今後の福岡のラグビー界のためにもどんな状況に陥ってもチームを存続させなければならない。サニックスとコカ・コーラと3チームがトップリーグに居続けることが、福岡のみならず九州のジュニアの強化につながる。1チームでも無くなれば福岡はラグビー王国から陥落しかねない。
「ラグビーができることに感謝して、誇りを持って1年間プレーする」
昨シーズンにゲームキャプテンとしてチームを引っ張った齊藤玄樹は話す。選手たちが一番わかっていると思うが、想いだけではどうにもならない。そこには必ず結果が求められる。
選手のなかには本気で日本代表を目指して覚悟を持ってプレーしている選手もいる。「あいつが選ばれるなら俺も絶対やれる」と熱く語ってくれる選手もいる。
全員がそういう想いを持ってプレーすれば、結果は付いてくるに違いない。
たくさんの写真パネルのなかに、いつ見ても鳥肌がたつ写真がある。
2年前、トップリーグ昇格を決めたときの写真だ。
来年の今頃、新たな歴史を彩る一枚がこの食堂に飾られていること。そしてその中心で笑う選手のなかから桜のジャージーを手にするプレーヤーいることを期待したい。
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