ワールドカップ 2022.10.23

【RWC2021】3年後への熱い思い。女子日本代表は「たくさんの可能性を秘めている」

[ 編集部 ]
【RWC2021】3年後への熱い思い。女子日本代表は「たくさんの可能性を秘めている」
RWC2021の戦いを終えた女子日本代表。最後列の左から2人目がレスリー・マッケンジーHC 🄫JRFU


 女子ラグビーの世界最高峰の戦い、「ラグビーワールドカップ2021」に挑んだ女子日本代表“サクラフィフティーン”は、強豪ぞろいのプールBで3戦全敗(総勝点0)という成績に終わった。ワールドカップ通算4勝目をつかむことはできず、目標としていたベスト8入りには届かなかった。10月23日の最終戦は、イタリアに8-21と惜敗した。

「本当にすごく悔しい。ただ、選手たちにはプレーし続けることができたことを誇りに思ってほしい。(選手、スタッフは)非常によく努力してくれていた。ゲームを見返すにあたって痛みを感じることもあるだろうけど、みんな非常によくやってくれたと思っている」

 レスリー・マッケンジー ヘッドコーチは熱闘をそう振り返った。

 2019年から指揮を執るカナダ出身ヘッドコーチのもと、女子日本代表は経験を重ねながらたくましさを増した。強豪相手のテストマッチが組めるようになり、今年5月には当時世界ランキング5位だったオーストラリアから歴史的な金星を奪い、8月には同6位のアイルランドを倒して自信をつけた。

 5年前の前回ワールドカップを経験しているキャプテンの南早紀も、35キャップを重ねたベテランの齊藤聖奈も、チームの進化を感じていた。
 しかし、世界の壁は高く、厚かった。

中央の白いキャップを着けた選手がキャプテンの南早紀。アメリカ戦 🄫JRFU

 今大会、3試合連続1番をつけてけん引した南は、「前回のワールドカップから5年間、ここを目指してやってきて、自分たちはベスト8に行くのだという強い思いがあった。そこに届くことできず、残念な気持ちでいっぱい」と悔しさをかみしめる。
 イタリア戦は後半特にポゼッションが悪く敵陣でプレーできなかったこと、ペナルティを多く重ね相手にチャンスを与えてしまったことを反省した。
「強豪国との違いは、試合経験はもちろん、ラグビーのうまさもある。どういう試合運びをしていくかが重要だし、どういうプランをしてゲームを遂行していくかは、これからの私たちに必要で、求められるところだと思う」
 積み上げてきたものは間違っていなかったと信じるが、やはり勝ちたかったという思いがこみ上げてくる。

 バックローで奮闘し、最終戦は8番をつけてフル出場だった30歳の齊藤は、「日本代表として結果が残せなかったのは、本当に悔しい。コネクションがどこかで崩れてトライにつながってしまい、世界と戦うにはまだまだ精度が足りないと思った」と振り返る。
 強豪とテストマッチをする機会は多くなったが、シックスネーションズで毎年タフな戦いを重ねるイタリアなど世界のトップクラスは、自分たちよりも試合の経験値が高いと認めざるを得ない。
 それでも、今大会ではサクラフィフティーンの若い選手たちも躍動し、次のステップアップを楽しみにしている。
「前回大会は世界を知った大会となり、今回はチャレンジした大会。世界の壁は厚くて、自分たちが結果を出せなかったのは悔しいが、ここまで登り詰めてきていることを世界に示すことはできた」

イタリア戦でトライを決めた細川恭子 🄫JRFU

 ラグビーワールドカップ2021・第9回女子大会は、新型コロナウイルスの影響により1年延期で開催となったため、次は3年後だ。2025年にイングランドで開催される大舞台へ向け、女子日本代表“サクラフィフティーン”の新たな挑戦が始まる。

 マッケンジー ヘッドコーチは、「数年間積み上げてきて、プレーヤーのレベルが高くなってきていること、たくさんの可能性を秘めていることに改めて感謝し、感動している。そのレベルを上げていくにつれてフラストレーションを感じることもあるだろうけれど、まだまだ伸びしろはあると思っている」と述べ、ここで得たものをこれから国内、国外で生かしていくことが今後の課題とした。

 イタリア戦でトライを決めた23歳のFL細川恭子は、チームとしてディフェンスは世界にも通用すると手ごたえを感じ、それでも「勝たないと女子ラグビーの価値も上がっていかないと思うので、今後は勝ち切るところをもっと意識してやっていきたい」と、さらなる成長を誓う。

 強烈なタックルを決め、ブレイクダウンなどでも奮闘した24歳のCTB古田真菜は、「夢の舞台でどんな結果を自分が残したいか、というところに改めて気付かされた。アタック、ディフェンス共にもっとアグレッシブさが必要だし、もっとチームに貢献できるような選手になっていかないといけない」とコメントした。

 そして、20歳でワールドカップの舞台に立ち、3試合連続15番をつけて力強い走りを披露した松田凜日は、「個人の感触として、フィジカル負けはしなかった。今回の大会で、自分の通用するアタックの部分は見えたので、もっとチームの得点につながるような、チームを勢いづける選手になりたい」と述べ、3年後の大舞台を見据える。

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