復帰後初のホーム勝利は大盛り上がり。負けが先行も、バイヨンヌ奮闘中。
我らが愛するバイヨンヌの街には
『ペニャ・バイヨナ(バイヨンヌのサポーター)』がいる
誇らしげにブルーと白のスカーフを着けていて
ダックスでもナルボンヌでも、彼らの姿しか見えない
彼らの心にあるのは、彼らが応援する極上のラグビー選手だ
…
行け、行け
ブルーと白のアヴィロン・バイヨネ
ペニャ・バイヨナがついているぞ
みんなここにいるぞ、行けバイヨンヌ
『ペニャ・バイヨナ』というバイヨンヌのチームの応援歌の一節だが、この歌はトップ14の他のチームのスタジアムでも、またフランス代表の試合が行われるスタッド・ド・フランスでも歌われている。
トップ14の準決勝から帰る路面電車の中で大合唱されているところに居合わせたこともある。
フランスラグビーとは切っても切れない歌なのだ。
その歌の本家本元のバイヨンヌがトップ14に戻ってきた。
15か月前、同じバスク地方のビアリッツとの入れ替え戦にPG戦で敗れた後に「1年でトップ14に戻ってくる」と約束した通り、昨シーズンProD2(フランス2部リーグ)で優勝し見事昇格、選手の補強も行い今季トップ14での残留を目指す。
3節まで終了した時点で1勝2敗のバイヨンヌ。負けが先行しているものの、その1勝は盛り上がった。
9月10日に行われたトップ14の第2節、復帰後最初のホームでの試合は満席となった。この日を待ちわびていた1万3000人のサポーターが選手のグラウンド入場に合わせて『ペニャ・バイヨナ』を熱く大合唱する。スタジアムはバイヨンヌのカラーのブルーと白に染まった。
対戦相手はラシン92、代表選手も多数いる強豪だ。
キックオフから6分で、ラシン92の選手が落としたボールをバイヨンヌのCTBシレリ・マンガラ(東京オリンピック7人制フィジー代表)が拾い、今季からバイヨンヌに加入したアルゼンチン代表HOファクンド・ボッシュが受け取り、3人のラシンの選手のタックルを跳ね除けてトライを決めた。
スタンドはさらに盛り上がる。
しかし、前半終盤にラシンに2トライされる。8-18とリードされて前半を終えた。
後半、バイヨンヌはインテンシティーを上げてきた。
コリジョンでラシンのFWを圧倒し、スクラム、モールを制した。54分に敵ゴール前スクラムからトライを決め、3分後には敵ゴール前ラックから、今季クレルモンから加入したSOカミーユ・ロペスがゴール前に落とすお得意のキックパスで味方のトライを演出、コンバージョンも決まり22-18と逆転に成功した。
その間スタンドの楽隊は演奏を続け、大歓声がチームを後押しし続けた。
その後もラシンが自陣でペナルティーを繰り返し、バイヨンヌは確実にスコアを重ね、80分にラシンがトライを返したがそこまでだった。
スタンドは熱狂状態だ。
ホームでの初戦を31-25の勝利で飾ることができた。
大人も子供も飛び跳ね、肩を組んで歌い大喜びしているスタンドを指しながら「見て!聞いて!素晴らしい!」とロペスが言う。「こんなに応援してもらっているんだ、途中で諦めるなんて許されない。『残留争いにようこそ』とチームメイトに言われたが、とてもやり甲斐のあるチャレンジだ」と残留のための一歩を喜ぶ。
バイヨンヌのフィリップ・タイエブ会長も「このスタジアムの雰囲気に後押しされ、選手たちは自己を超越することができた。ここには16人目の選手が存在する」とサポーターのパワーに感謝し、また「リードされた状態からリアクションすることが大切だった。今季トップ14にバイヨンヌは存在し、これからも存在し続けるために戦うと強いメッセージを発信しなくてはならなかった」。
「重要なのは勝利。どんなに努力して、いい準備をしていても勝たなければその価値を認めてもらえない。ラシンは多くの主力選手が欠けていたことも忘れてはいけない。地に足をつけて謙虚に努力を続け残留を目指す。そのために必要な投資は行なっている」とタイエブ会長は続けた。
バイヨンヌは2015年に降格して以来、トップ14とProD2の間の行き来を繰り返しており今回で3度目の昇格になる。今度こそトップ14に定着したい。
この新しいシーズンに備えてスタジアムのスタンドを増設した。また新しいトレーニングセンターの建設工事も進んでいて年末には完成予定だ。
この試合の3日後、先日南アフリカで行われた7人制ワールドカップで優勝したばかりのフィジー代表のカミニエリ・ラサクがチームに合流したことが発表された。
ラサクは大会最優秀選手にも選ばれている。新たな戦力になってくれるだろう。